褥瘡対策委員会での理学療法士・作業療法士の活動における問題点と今後の課題

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抄録

【はじめに】<BR> 当院の褥瘡対策委員会は、2007年4月から、新たに理学療法士・作業療法士(以下PT・OT)が参加し、褥瘡予防対策に関わって1年が経過した。PT・OTの褥瘡対策委員会での1年間の活動状況から今後の課題を検討したので報告する。<BR> 【目的】<BR> 褥瘡対策委員会でのPT・OTの活動状況から、問題点と今後の課題を検討する。<BR> 【現状及び問題点】<BR> 当院は1,018床の総合病院である。2007年度の院内褥瘡発生率は平均1.1%であったが、院外発生褥瘡いわゆる持込み患者の入院が多いため褥瘡保有率は平均4.4%であった。現在、褥瘡対策委員会は皮膚科医師、皮膚・排泄ケア認定看護師、看護師、管理栄養士、薬剤師、PT・OT、ソーシャルワーカー等の多職種から構成され、褥瘡対策の活動を実施している。褥瘡対策委員会の主な活動内容は、定期的な勉強会開催による教育活動や体圧分散寝具の管理、週1回の褥瘡回診などである。その中でPT・OTの主な役割は、週1回1時間の褥瘡回診に同行し褥瘡保有患者に対するポジショニング等を中心に介入し、褥瘡予防や褥瘡悪化の予防に携わることである。回診前には患者情報を担当PT・OTから収集し介入しているが、回診は創処置やケア・治療方針の検討が主となっているため、限られた時間のなかで身体機能の評価やOTによる食事動作・姿勢の評価・介入なども十分に行えていない状況である。また、病棟スタッフとの連携体制が不十分なため、患者の活動状況の情報を得られにくい事などが問題点としてあげられる。<BR> 【考察】回診時に褥瘡を有する患者の身体機能の評価が十分に行えていない要因には、1時間という限られた回診時間のなかで、身体機能評価が容易にできるようなシステムが十分整っていない事や、病棟スタッフとの連携が不十分なために患者の活動状況の情報を得にくい事などが考えられる。今後は回診の限られた時間のなかで、患者の問題点を的確に情報収集・評価し、適切に介入していけるように検討することが必要である。具体的には、創処置や食事形態・栄養状態、活動状況等、褥瘡を有する患者の情報がひとつのシートで把握するためのチェックシートを作成するとともに、病棟スタッフとも連携が十分図れるように体制を見直すことが必要である。今後、作成したチェックシートを基に患者の情報を共有し、PT・OTの立場から問題点を考察し積極的に介入し役割を果たすことが求められていると考える。さらに、現在回診時に十分行えていない食事動作・姿勢の評価・介入に関しては、事前に情報収集して回診時に行うようにしていく必要がある。<BR> 現在、褥瘡発生の原因として、院内発生・院外発生共に摩擦やずれが関与しているケースも少なくない。2008年度は褥瘡対策委員会主催の勉強会を通してPT・OTの立場からポジショニングの重要性について教育することを検討している。<BR> 褥瘡対策委員会で活動するPT・OTとして、これらの課題に今後も積極的に取り組んでいきたい。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205518150656
  • NII論文ID
    130006944702
  • DOI
    10.14879/nnigss.57.0.342.0
  • ISSN
    18801730
    18801749
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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