当院における禁煙外来成績の比較検討

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  • (個別指導と集団指導を比較して)

抄録

〈緒言〉喫煙が肺癌・咽頭癌・慢性閉塞性肺疾患・虚血性心疾患・脳梗塞など多くの病気を引き起こすことは医学的にも確立されてきた事実である。また、禁煙に対しての関心も高まり、禁煙を望む人も増えている。そこで、当院における禁煙外来の個別指導と集団指導を比較して、どのような因子が禁煙成功に影響するか検討した。<BR>〈方法〉指導方法として、個別指導は、個人から受診希望があった際に資料を送付し初回受診日までに記入して持参する。そして、各個人が希望する日に初回受診し、検査(呼気CO濃度測定・尿中ニコチン濃度測定)・医師の診察・保健師による禁煙指導を行い、ニコチンパッチを2ヶ月間使用した禁煙方法とした。禁煙開始から2-3日後に電話にてフォローし、2回目受診日(禁煙から2週間後)・3回目受診日(禁煙から6週間後)・4回目受診日(禁煙から8週間後)に検査(呼気CO濃度測定・尿中ニコチン濃度測定)・医師の診察・禁煙指導を行った。禁煙3ヶ月後・6ヵ月後・1年後に電話にて禁煙経過の確認を行う指導方法とした。集団指導は、高山市住民健診を受診した高山市国民健康保険加入者のうち旧高山市住民の喫煙者全員(平成16年までは高山市国保総合健診及び飛騨農協総合健診を受診した喫煙者全員)に対して電話にて禁煙を推奨し、受診希望があった人に教室の案内文を郵送した。初回は、全員が同じ日で、禁煙すると決めなくても参加できる日とし、禁煙に関する話と以前に集団指導を受診した禁煙成功者が直接体験談を話す会とした。その上で実際に禁煙を始められる方は、数日後の指定日に受診し、検査(呼気CO濃度測定・尿中ニコチン濃度測定)・医師の診察・禁煙指導・グループワークを行い、ニコチンパッチを2ヶ月間使用した禁煙方法とした。禁煙開始から2-3日後に電話にてフォローし、個別相談週間(禁煙から2週間)・集団指導受診日(禁煙から4週間後)・個別相談週間(禁煙から6週間)・集団指導受診日(禁煙から8週間後)に検査(呼気CO濃度測定・尿中ニコチン濃度測定)・禁煙指導を行い、集団指導時には全員が同じ日に受診し、グループワークを実施した。教室終了後も集まりたいとの要望があり、3ヶ月毎に自主的に同窓会を開催し周囲との情報交換の場となった。そして、禁煙1年達成者には次年度の集団指導初回時に禁煙達成証明書を渡して表彰した。<BR>〈対象および結果〉受診者は、個別指導34名(平成12から16年)・集団指導45名(平成13から16年)であった。禁煙成功率は、個別指導32.4%(11名/34名)・集団指導80%(36名/45名)であり、集団指導で高い成功率を示した。<BR>〈考察〉集団指導で成功率が高かった因子として、<1>初回受診において、禁煙をすると決めていなくても参加出来ることで気軽に受診ができたこと<2>初回受診時に禁煙成功者の話を聞いて禁煙するという気持ちを高めることが出来たこと<3>グループワークを行うことでお互いの励みになり、自主的な動き(同窓会)が出たこと<4>地域性として、顔見知りが多く、農閑期に集団指導を実施できたことが考えられる。<BR>〈結語〉今回個別指導と集団指導を比較検討し、集団指導の禁煙成功率が高かった。今回の考察を生かし、より充実した禁煙指導を行いたい。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205518286720
  • NII論文ID
    130006944751
  • DOI
    10.14879/nnigss.55.0.90.0
  • ISSN
    18801730
    18801749
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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