気管切開し吸引が必要な在宅療養患者のサポート体制の検討

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タイトル別名
  • 通所サービスを導入して

説明

<はじめに> 我が国では、家庭においても医療、看護を必要とする人が急速に増加している。在宅療養については吸引の為に家族は多大な介護負担を強いられる場合が少なくない。 在宅療養を継続するためにはこの状況を改善する必要性を感じこの研究に取り組んだ。<BR><事例紹介> U様 62歳(妻と2人暮らし)H12多系統萎縮症と診断される。(気道閉塞の為、気管切開施行)<BR>ADLの状況<BR>移動:車椅子(全介助)食事:経管栄養<BR> 排泄:オムツ使用 導尿(朝・夕 2回)<BR> 意思疎通:文字盤 eyeコンタクト<BR><方法><BR>・サービス担当者会議を持ち、在宅中のケアの方向性を明らかにする。<BR>・サービス事業者に受け入れを働きかける。<BR>・実際にサービスを利用する。<BR>・本人・妻の感想を聴き、継続して利用できるよう調整する。<BR><結果> 各サービス事業者と医師を交えサービス担当者会議を実施。医師の助言により、施設利用可能となった。本人と家族からはサービス導入に向けて前向きな意見が聴け、デイサービスを試みることとなり、1回目の利用時には訪問看護師とケアマネの同行を提案した。<BR>1回目のデイサービスを利用、特に問題はなかった。その後は引き続き、週に1回程度継続的に利用できるようになった。<BR><考察> 介護者の負担は大きいにもかかわらず、サービスを受け入れてくれる所が少ないため在宅療養に限界を感じているケースが多い。<BR> 今まで気管切開のある方は訪問サービスによる介護支援を実施してきた。しかし、頻回の吸引等で介護者は精神的・身体的に疲労が蓄積している。小林氏らは、1)「介護者を身体的・精神的負担から開放し、十分で効果的な休息をとらせていくことは、在宅療養をよりスムーズに継続させていくためには必要不可欠である。」と介護休息の重要性を述べている。<BR>これまでもデイサービスの利用を検討したが、気管切開をしており吸引が頻回なことで実現できなかったという経過がある。<BR>今回、医師より病状・今後在宅での必要なサービスについて説明・助言を得たことは、家族の意識改革とサービス事業者の理解を得、安心感を与えたと考える。<BR> また1回目の利用時に訪問看護師とケアマネが同行し、個別的な医療ケアを含めた係わりを共に実践したことで本人とサービス提供者双方にとって自信に繋がった。更に、利用中は隣の利用者を気遣う様子が見られ、次回からのサービス利用に拒否的態度が見られなかったことは社会性回復のきっかけになったと言える。<BR><結論><BR>・施設利用により、介護休息が取れた。<BR>・本人・家族及び関係者の共通理解のためには、医師を含めたサービス担当者会議の開催が不可欠である。<BR>・社会性を保つためには他者との交流が必要である。<BR><おわりに>難病患者をはじめ、医療依存度の高い患者が在宅療養に移行するケースが増えてきている。今後は現在あるサービスを利用するだけでなく、各事業者間で連携をとりながら新たなサービスの開拓にも取り組んでいく必要があると考える。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205518322304
  • NII論文ID
    130006944808
  • DOI
    10.14879/nnigss.55.0.88.0
  • ISSN
    18801730
    18801749
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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