積み木パズルを利用した介護予防事業の取り組みについて

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抄録

<はじめに>豊田市社会福祉協議会足助支所では、豊田市の介護予防事業(以下、はつらつクラブ)における認知予防プログラムの1つとして、あかね式積み木パズル(積み木パズル)を平成16年から導入し、有効な事例を経験している。今回、事例報告ならびに積み木パズルに関するアンケート(積み木パズルをする頻度、生活パターンなど)の結果を報告する。<BR><対象と方法>79歳-94歳のはつらつクラブ利用者121名(うち女110名)(利用頻度、週1回または月2回)とした。<BR> 3種類の積み木パズル、1つ違い5X5,シースー,さいころ,について、目標完成図(パターン)および完成記録の表(パターン表)を用意。各参加者の、遊び時間・集中度・完成パターン数を記録した。個人的記録として、利用者の様子と職員の関わり方、利用者の反応等を記録した。積み木の購入は個人の自由とし、およそ3ヵ月後に積み木パズルに関するアンケートを行った。<BR> 積み木パズルとは、5色(赤青黄緑白)いずれかの色を持つ2cm角立方体の木材で、2個から5個連結させて一つのパーツとし、そのパーツを手引き図に従い完成させる遊びである。<BR><結果><BR>事例1:80歳、女性(週一回利用、日記を毎日、自宅でも積み木パズルを時々やっている)<BR> 最初から興味を示したが、遊び方が理解できなかった。飽きっぽくそそっかしい面が見受けられるが、シースーは出来るまで、何度でもチャレンジしている姿が見られた。1つ完成すると午前中約1時間半ほど休憩もせずに遊び続けていたり、昼食時も弁当箱のそばに置き眺めながら食事を取り、昼休憩もしないで、午後のはつらつクラブメニューに移行するまでやっていた。時には来所するなり積み木パズルをやり始めていた。<BR>事例2:90歳、女性(週1回利用、新聞、日記を毎日。自宅でも積み木パズルを毎日やっている)<BR> 最初はシースーの固定が上手にできず、出来上がりの記録(パターン表)への色塗りも出来なかったが、4ヶ月後には「出来た」など声を出すようになり、10ヵ月後には積み木パズルの種類を自分で選択して遊べるようになった。<BR> アンケート結果では、ほぼ全員が積み木に興味を持ち楽しいと回答した。完成する楽しみが増える、達成感がある、夢中になる、真剣に考えるところが良い、などの回答がみられた。また個人で積み木パズルを購入して自宅でも楽しんでいる人は51名(42%)もあった。その人たちは購入してない人たちと比較し、日記をつけ、新聞を毎日読んでいる頻度が高かった。<BR><考察およびまとめ>積み木パズルは、難易度を調整することによって挑戦する気持ちを失わせることなく、継続的にそれぞれの利用者に合わせた対応が可能で、意欲を引き出すことができた。介護・福祉の現場においてサービス提供の質を問われる現在、今回紹介する積み木パズルは、利用者とのコミュニケーションツールとして有用で、また認知症予防の可能性を秘めているものと考えられる。

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  • CRID
    1390001205518461184
  • NII論文ID
    130006944976
  • DOI
    10.14879/nnigss.55.0.131.0
  • ISSN
    18801730
    18801749
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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