ERCPにおけるビデオを用いたオリエンテーションの効果

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抄録

内視鏡的逆行性膵胆管造影(以下ERCPとする)は、当科では年間約70例行われている。ERCPは通常の胃内視鏡検査とは異なり、体位等、患者の協力が必要であるが、スムーズに行えないことが多く、口頭説明だけではイメージ出来ていない事が原因と考えた。そこで、従来のERCPの検査説明における不足部分をアンケート調査で明確にし、新たにパンフレットとビデオを作製し、オリエンテーションを行った。アンケートは一昨年度当科にてERCPを受けた患者36名対し、アンケート用紙を郵送し、返信してもらい、単純集計した。23名より有効回答が得られ、男性13名、女性9名、無記入1名、平均年齢は58.6歳であった。どのような検査であるか分かったか、の問いには分かった74%、分からなかった17%、看護師からERCPについて受けた説明は、食事、水分摂取91%、点滴65%、安静時間48%などであった。分からなかった理由として、説明内容が難しかった、言葉だけの説明では分かりにくかった、看護師自体が内容を良く知らないのでは、などの意見があった。あらかじめ知っておきたかった事は、検査時の体位について、痛みについて、検査時間についてなどであった。これらの結果からビデオを活用したオリエンテーションを行う事とし、オリジナルビデオとパンフレットを作製した。ビデオは病態生理からERCP終了までの一連の流れを撮影し、医師、看護師、患者役は当科のスタッフが出演し、ナレーションで説明を入れた。パンフレットはビデオ内容を補足説明した5ページの小冊子とした。オリエンテーションはERCP前日に行い、看護師が終了後に患者から感想を聞き、質問がないか確認した。パンフレットは検査終了まで患者の手元に置くようにした。ビデオ放映後の感想としては、体の向き方のイメージが出来た、造影剤をいつ入れているのか分からない、患者役が苦しそうでないので楽な検査のように思った、などの意見があった。新たなオリエンテーション後の聞き取り調査では8名中全員が分かったと答えた。 従来の説明は食事、水分摂取時間、安静時間を記載した用紙を用い、検査の必要性や、手順の説明は明記されたものがなく、説明内容も看護師間で違いがあった。ビデオで視覚に訴え、パンフレットにより復習することで検査に対する理解と、イメージ化が出来たものと考える。また、患者の評価から、ビデオが実際の検査時間より短い事、造影剤注入の場面など、ビデオに取り込めなかった部分の補足説明の仕方や、検査に携わる医師からの評価を確認し、更に効果的なオリエンテーションを行っていくことが今後の課題である。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205518730368
  • NII論文ID
    130006945261
  • DOI
    10.14879/nnigss.55.0.199.0
  • ISSN
    18801730
    18801749
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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