検査科におけるISO9001の運用例

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<はじめに>当院は平成16年3月に国際規格ISO9001(2000)を認証取得した。ISO認証取得までには、医療サービス方針、医療サービス目標、医療サービスマニュアル、規定・手順書、様式、記録など数多くの事を実施した。手順書については、全部署において作成した。手順書の内容は、1部署のみで使用する手順書を業務手順書とし、複数部署に関連する手順書を“PMR”(プロセス・マニュアル・ルール)として作成した。<br> PMRは、文書管理規定により「内容別作成区分」「危機度別分類」にそれぞれ分類され、「危機度別分類」は(1)重度、(2)中度、(3)軽度に分類されている。今回、検査科が主管となるPMRのうち、危機度が(1)重度となっている「極異常値データー報告ルール」について紹介したい。<br><内容>「極異常値データー報告ルール」の定義は「極異常値データーとは患者の病状の急変や生命に危険を招く場合など、緊急時の病態を反映する検査値とする」とした。目的は「極異常値データーが得られたら速やかに主治医に緊急連絡し、早期診断・早期治療に役立てる」とした。極異常値データー報告手順は、あらかじめ定めた緊急連絡しなければならない検査項目と極異常値を定め、極異常値が発生したら、検査担当者は主治医に至急報告する。直接主治医に報告出来ない場合は、看護師を通じて仮報告書を添えて主治医に連絡する。再検査を行い、最終報告とし主治医が検査結果を確認する事としている。注意事項として、極異常データーの報告は初回検査のみとするが、主治医から報告依頼があれば随時報告する。極異常値の報告は夜間・休日も同様とする。主治医が不明の場合は外来・病棟へ問合わせ主治医を確認する。人間ドック及び健診受診者の場合は、検診センター長に連絡する。検診センター長が不在の場合は院長に連絡する。としている。緊急に連絡しなければならない検査項目は、生化学検査12項目、血液検査5項目、尿検査2項目、薬物検査2項目、免疫検査1項目でそれぞれに緊急報告基準値を設定した。主治医への連絡手段として、主にPHSを使用している。<br><考察>極異常値を主治医に緊急報告する事は早期に適切な治療を行うための支援として、検査科として重要な業務である。極異常値として報告する検査項目・検査値を定めルールとして文章化した事により、各スタッフの極異常値に対する個人差や迷いが無くなり、検査科スタッフは自信と安心をもって極異常値の報告が行える様になった。<br><まとめ>ISO認証取得により業務内容を文章化した事により、個人の判断で行っていた事を共通の理解の中で業務が行う事ができる様になった。また、他部署と連携される業務も文章化された事により円滑に業務ができ、患者様が求める医療サービスを効率的・効果的に提供できるようになったと実感した。今後も、ISO認定取得したメリットを最大限に活かすために、日々継続的改善を図る事が必要と考えます。

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Details 詳細情報について

  • CRID
    1390001205518836992
  • NII Article ID
    130006945366
  • DOI
    10.14879/nnigss.55.0.236.0
  • ISSN
    18801730
    18801749
  • Text Lang
    ja
  • Data Source
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • Abstract License Flag
    Disallowed

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