前立腺肥大症に伴う排尿障害に対する塩酸タムスロシン0.4mg増量投与の臨床的検討

説明

〈目的〉塩酸タムスロシン(以下タムスロシン)は,日本,<BR> 韓国などアジアでは0.2mg 投与が標準的であるが,欧米<BR> では,0.4mg 投与が一般的である。しかし,日本におい<BR> ても保険上0.4mg までの増量投与が認められている。今<BR> 回,われわれは,前立腺肥大症に伴う排尿障害に対するタ<BR> ムスロシン0.2mg から0.4mg 増量投与による効果につい<BR> て臨床的に検討を行った。<BR> 〈対象および方法〉前立腺肥大症の治療でタムスロシン<BR> 0.2mg 投与中に,IPSS が8以上で,十分なインフォーム<BR> ドコンセントを行い,増量することに同意した患者19例を<BR> 対象とした。患者は28歳~82歳(平均70.9±12.1歳),前<BR> 立腺体積10ml~55ml(平均27.3±13.1ml),タムスロシ<BR> ン0.2mg 前治療期間は,1ヶ月~112ヶ月(平均19.8±<BR> 29.3ヶ月)であった。タムスロシン0.2mg 内服中(増量<BR> 前)と,0.4mg に増量後4週~8週目にIPSS・QOL ス<BR> コア,尿流量測定,残尿量を測定し,増量前後での変化を<BR> 評価した。<BR> 〈結果〉増量前と後の平均値の推移は,IPSS 15.3±5.6<BR> から13.0±8.3(p=0.0397),QOL スコアは3.8±1.2か<BR> ら3.4±1.2(p=0.0517),Qmax は10.2±6.7ml/min か<BR> ら11.9±7.0ml/min(p=0.1555),残尿量は35.7±27.0<BR> ml から19.6±18.0ml(p=0.0157)であった。増量前と後<BR> の変化量では,IPSS は2.3±4.4改善した(p=0.0397)。<BR> 残尿量は,16.2±24.1ml 減少した(p=0.01574)。タム<BR> スロシン増量により,IPSS と残尿量は有意に改善がみら<BR> れた。増量を試みた19例のうち,1例に乳房痛,1例にふ<BR> らつきがみられた。<BR> 〈考察および結語〉今回の検討は少数例ではあるものの,<BR> タムスロシンを0.4mg に増量することで排尿障害が有意<BR> に改善した。以上よりタムスロシンの増量は他剤を考慮す<BR> る前に試みる治療選択肢となりうることが示唆された。<BR>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205519324032
  • NII論文ID
    130006945819
  • DOI
    10.14879/nnigss.58.0.298.0
  • ISSN
    18801730
    18801749
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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