当院における VSRAD の有用性とHDS-R との相関について

説明

〈諸語〉アルツハイマー(以下AD)型認知症においては,<BR> 認知症の症状のいまだ見られない軽度認知機能障害の時期<BR> での診断の重要性が増してきている。AD 型認知症では海<BR> 馬・海馬傍回付近の萎縮が早く起こることが判明してい<BR> る。VSRAD はAD 型認知症に特異的に見られる海馬傍回<BR> 付近のMRI 形態画像情報を解析するシステムであり,早<BR> 期より積極的な治療を行うための診断の補助として,有用<BR> 性が期待されている。<BR> 〈目的〉当院における認知症の1次スクリーニングは頭部<BR> MRI とHDS-R(改訂長谷川式認知症簡易知能評価スケー<BR> ル)であるが,今回われわれはこのVSRAD の有用性と<BR> HDS-R との相関の有無に関して解析を行ったので報告す<BR> る。<BR> 〈方法〉対象は2006年1月から2009年4月に,認知症疑い<BR> において当院受診し,頭部MRI 検査時にVSRAD を施行<BR> し,HDS-R を受けた83症例(男性36人,女性47人,平均<BR> 年齢75.2歳)。この検査で得られたVSRAD のZ-Score と<BR> HDS-R の比較を行った。<BR> 撮影条件は推奨条件に同等のものを使用した。<BR> 〈使用機器〉Signa Horizon Lx1.5T,Advantage Workstation(<BR> GE 横河メディカルシステムズ),VSRAD,<BR> VSRAD plus(エーザイ株式会社)。<BR> 〈結果〉Z-Score は器質性病変のある症例を除き,AD で<BR> は無いと診断された例が0~1.45に対し,AD+AD 疑い<BR> と診断された例は0.23~4.2であった。AD+AD 疑いの群<BR> ではAD ではない群に比べ高値で大きく分散していた。<BR> カットオフポイントZ-Score=2,HDS-R=20とすると特<BR> 異度は81%であったが,感度は24%であった。<BR> 〈考察〉今回の結果としてVSRAD とHDS-R の相関性は<BR> 高いとは言えなかった。MMSE(認知機能検査)との相<BR> 関性が高いとの報告もあり,当院でも同様な結果となった<BR> と思われるが今後当院でも検討したい。<BR> しかし以上のことを踏まえても,萎縮部位の定量化は診<BR> 断の補助において効果的であると考える。<BR> 〈結語〉診療上,VSRAD を取り入れることは有用である。<BR>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205519460864
  • NII論文ID
    130006945887
  • DOI
    10.14879/nnigss.58.0.337.0
  • ISSN
    18801730
    18801749
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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