当院が担う生活習慣病予防活動の課題

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抄録

〈はじめに〉平成21年度の国民栄養調査結果によると,自分にとって適切な食事内容,量の認知状況は20,30代の男女とも70%前後が知っていると回答している。しかし,食事の脂肪エネルギー比率を25%以上摂取している割合は,20,30代の男女とも50%以上であり,「健康日本21」が目標とする食事の脂肪エネルギー比率を25%以下とすることは,困難な状況であることがうかがえる。このような高脂肪食をはじめとする食習慣の不適切さや運動不足等により生活習慣病が増加している中,生活習慣病への移行を予防することが我々,管理栄養士の大きな課題であると考える。そこで,当院にて実施した生活習慣病予防健診及び定期健康診断の結果より,現状を把握し,今後の課題について報告する。<BR> 〈対象〉期間:2008年から2010年。生活習慣病予防健診及び定期健康診断受診者:4,824名。特定健康診査対象群(以下対象群とする):2,244名。非特定健康診査対象群(以下非対象群とする):2,580名。検査項目:BMI,腹囲,血圧,中性脂肪,HDL コレステロール,LDL コレステロール。<BR> 〈結果〉BMI25以上の割合は,対象群では23.1%,23.4%,23.9%(経年順,以下同様),非対象群では8.3%,8.6%,10.2%であった。腹囲が基準値以上の割合は,対象群では31.4%,26.8%,28.8%,非対象群では12.2%,9.5%,10.0%であった。血圧の基準値以上の割合は,対象群では48.5%,42.3%,48.7%,非対象群では21.7%,14.6%,18.7%であった。中性脂肪150mg/dl 以上の割合は,対象群では21.0%,22.4%,21.0%,非対象 群では9.7%,7.1%,7.8%であった。HDL コレステロール40mg/dl 以下の割合は,対象群では3.7%,2.4%,2.8%,非対象群では0.0%,0.0%,2.3%であった。LDL コレステロール120mg/dl 以上の割合は,対象群では52.6%,70.3%,58.4%,非対象群では21.3%,20.5%,23.8%であった。2008年から2010年の3年間の各項目結果において,対象群,非対象群とも対象者の割合はほぼ横ばいであり,変化はみられなかった。<BR> 〈考察〉今回の結果では,対象群と非対象群において有意差がみられた。しかし,非対象群においても少なからずリスクを有する者がいる。この現状より,非対象群においても,適切な生活習慣あるいは健康維持,増進に役立つ情報を提供し,生活習慣病予防に対する啓蒙活動を行うことが必要であると考える。そのためには,生活習慣病予防健診及び定期健康診断時や結果報告時において,情報の提供等,環境整備が課題と考える。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205519580288
  • NII論文ID
    130006945977
  • DOI
    10.14879/nnigss.60.0.17.0
  • ISSN
    18801730
    18801749
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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