筋緊張の制御練習を中心に行うことで歩容が改善した脳梗塞左片麻痺の1症例
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説明
【はじめに】今回,脳梗塞左片麻痺症例に対し,歩容の改善を目的に,筋緊張の制御を行う練習を中心に実施し,良好な結果を得たので報告する.【症例紹介】60代男性.脳梗塞発症し,当院入院.発症13日後に退院し,20日後より歩容改善目的に週2回の頻度で外来PT開始した.【初期評価】全体像:リハ意欲高い.高次脳機能障害:なし.BRS:下肢_IV_(共同運動の影響残存).ROM-t:足関節背屈5°.筋緊張(MAS):股関節内転筋1+,大腿四頭筋2,下腿三頭筋1+.座位・立位にて亢進.非麻痺側筋力:5レベル.感覚:正常.基本動作:自立(努力性筋緊張亢進).歩行:t-caneにて自立.全相にわたり麻痺側膝関節伸展位,足関節軽度底屈位.遊脚期は股関節外旋位で分廻し.麻痺側立脚期は反張膝傾向.【理学療法】当該関節に注意を向けながらの関節可動域練習と,臥位・座位で運動覚イメージを用いた下肢運動課題を実施した.各練習実施時には,注意やイメージを使用しながら,伸張反射や放散反応の異常が出ないよう配慮し行った.【最終評価:リハ開始後43日】全体像:散歩をする等の活動性向上. BRS:下肢_V_.ROM-t:足関節背屈10°(他動),5°(自動).筋緊張(MAS):股関節内転筋1,大腿四頭筋1+,下腿三頭筋1,座位・立位でのコントロール可能.基本動作:自立(努力性の減少).歩行:独歩可.麻痺側踵接地,立脚後期のMP関節伸展,踵離地が可能.遊脚期の膝関節の屈伸がスムーズになった.階段昇降:手すり使用一足一段にて自立.【考察】本症例は,運動機能が比較的良好であるが,座位・立位では筋緊張亢進により随意的な運動が困難となり,歩行障害を認めていた.この問題に対し,臥位・座位での体性感覚イメージを用いた筋緊張の制御練習を中心に実施した.症例に注意や気づきを与えることで筋緊張の制御が徐々に可能となった.また,筋緊張の制御が行いやすい臥位や座位で反復練習することで,動作や歩容改善の一要因になったと考えられる.
収録刊行物
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- 日本農村医学会学術総会抄録集
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日本農村医学会学術総会抄録集 59 (0), 363-363, 2010
一般社団法人 日本農村医学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390001205519737472
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- NII論文ID
- 130006946155
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- ISSN
- 18801730
- 18801749
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可