非常時食事提供システムの構築

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抄録

〈背景〉愛知県厚生連病院は8病院を有し,規模・医療内<BR> 容など,地域のニーズに合わせた地域医療を担っている。<BR> 近年,サルモネラ菌等,従来の食中毒菌の他に,病原性大<BR> 腸菌群やノロウィルスの脅威に曝されている。このような<BR> 背景から,非常時における病院給食運営の体制作りが必要<BR> と考え「非常時食事提供体制」を検討し締結に至ったので<BR> 報告する。<BR> 〈方法〉体制作りで最も重要であったのは行政処分(営業<BR> 禁止処分)に対する認識であった。そこで,過去に食中毒<BR> による営業禁止処分を受けた経験者を招き,事故発生から<BR> 給食の再開までの状況を詳しく伺った。実効性を高めるた<BR> めに,代表5病院による小委員会を発足させ,様々な問題<BR> 点を洗い出し,各病院の実態に合わせた原案を作成した。<BR> そして,8病院と厚生連本部同席の上,栄養科技師長会議<BR> にて最終案とし,全病院病院長の同意を得て,平成20年11<BR> 月よりシステムが稼動した。<BR> 〈結果〉非常時食事提供システムは調理支援と人的支援の<BR> 2体制からなる。軸となる調理担当病院は,新調理法<BR> (クックチル)を採用している3病院とした。残る5病院<BR> は,調理担当病院と依頼(発生)病院への人的支援をし,<BR> 依頼病院の指揮は支援病院技師長が行う。県内に広く散在<BR> する系列病院間での安全で迅速な対応を可能にするため,<BR> 近隣の給食会社も利用した。支援は,各治療食など特殊な<BR> 患者食に限定し,最も病態に合った食事オーダーができ<BR> る。必要な備品は全病院で分割購入・保管している。食<BR> 事・備品の配送は,厚生連の共同購入指定業者を仲介して<BR> 運送会社と契約をかわした。<BR> 〈考察〉愛知県厚生連は急性期より介護まで,幅広く医療<BR> を展開しているが,今回構築した食事提供システムは,安<BR> 心の医療を提供する地域医療の一助になるのではないかと<BR> 考える。<BR>

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  • CRID
    1390001205519754496
  • NII論文ID
    130006946168
  • DOI
    10.14879/nnigss.58.0.431.0
  • ISSN
    18801730
    18801749
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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