入院中高齢者の足爪の変形と転倒の関連性

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〈緒言〉高齢者の転倒転落事故の防止には強い関心がもたれているが、歩行能力に大きな影響を及ぼす足爪の変形についてはあまり関心が払われていない現状がある。入院中高齢者の8割以上に爪や足の変形があると言われており、実際に病棟に入院している高齢者の多くに爪白癬や肥厚、陥入がみられる。しかし看護記録としてカルテ記載されることは少なく、フットケアの方法も確立されていない。高齢者に対するフットケアの有効性には、バランス機能と尿失禁の減少があり、転倒した人たちは転倒したことがない人たちより爪のトラブルが多い、という結果も報告されている。<BR> 今回、爪のケアの重要性の認識を深めるため、高齢者の転倒と足爪の変形との関連を明らかにする目的で調査を行った。<BR> 〈方法〉65歳以上の入院患者のうち、転倒歴のある群10人と転倒歴のない群20人を対象に、「深爪」「伸び過ぎ」「角質過多」「肥厚」「陥入爪」「剥離」「萎縮」「脱落」「爪の白濁」「爪周囲炎」の10項目の変形を、両足爪全てについて調査し、各観察項目と各足趾別の変形についてx2検定を使って転倒との関連性を分析した。<BR> 〈結果〉左右いずれかの足爪の「脱落」「萎縮」が転倒歴のある群の方に有意に多くみられ、転倒との関連性が示唆されたが、それぞれの足爪の変形と転倒との明確な関連性を示すにはいたらなかった。<BR> 今回の調査は対象者が30人とデータ数が少なく、有意差が出なかった原因のひとつになっていると考えられる。また入院中高齢者では、原疾患による全身機能の悪化、認知症、環境への不適応が及ぼす影響が大きく、足爪の変形による影響があらわれにくかった可能性が考えられる。しかし、調査対象30人のうち29人になんらかの足爪の変形があり、歩行機能やバランス機能維持改善のためにもフットケアの重要性があらためて認識される結果となった。

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  • CRID
    1390001205520687360
  • NII Article ID
    130006946546
  • DOI
    10.14879/nnigss.60.0.61.0
  • ISSN
    18801730
    18801749
  • Text Lang
    ja
  • Data Source
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • Abstract License Flag
    Disallowed

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