オスモティックストレスが培養歯髄細胞の硬組織形成能とオステオポンチン産生に及ぼす影響

  • 稲垣 裕司
    徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部顎口腔病態制御学講座歯周歯内治療学分野
  • 板東 美香
    徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部顎口腔病態制御学講座歯周歯内治療学分野
  • 中島 由紀子
    徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部顎口腔病態制御学講座歯周歯内治療学分野
  • 廣島 佑香
    徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部顎口腔病態制御学講座歯周歯内治療学分野
  • 木戸 淳一
    徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部顎口腔病態制御学講座歯周歯内治療学分野
  • 永田 俊彦
    徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部顎口腔病態制御学講座歯周歯内治療学分野

書誌事項

タイトル別名
  • Osmotic Stress Affects Calcium Deposition and Osteopontin Expression in Cultured Rat Dental Pulp Cells

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説明

浸透圧変化が惹起する刺激源は一般にオスモティックストレス(osmotic stress)と呼ばれており,種々の組織や細胞に影響をもたらすことが知られている.しかし,オスモティックストレスが歯髄の組織や細胞にどのような影響を与えるのかを論じた成書や研究報告はぼとんどない.本研究ではラット由来の歯髄細胞培養系を用いて,オスモティックストレスと歯髄細胞の硬組織形成の関連性を検証した.また,オスモティックストレスによって硬組織形成関連タンパクであるオステオポンチン(OPN)の発現やリン酸化に変化が生じるかも検証した.その結果,歯髄細胞培養系においては,低張および高張のいずれのオスモティックストレスによっても細胞の形態や増殖に影響が認められ,硬組織形成も低下した.低張ストレスを付与するとOPNの発現量や総タンパク量に対するOPNの比率は上昇し,また発現したOPNはリン酸化されていた.一方,高張ストレスを付与するとOPNの発現量や総タンパク量に対するOPNの比率は低下し,脱リン酸化されたOPNが主に発現した.このように低張と高張のオスモティックストレスではOPNの発現量やリン酸化による修飾の程度が異なっていたことから,低張および高張のいずれのオスモティックストレスによっても石灰化は抑制されたが,その抑制のメカニズムは一様でないことが明らかとなった.以上より,オスモティックストレスは歯髄細胞の硬組織形成に影響を与え,OPNの発現およびそのリン酸化が制御因子として機能している可能性が示唆された.

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参考文献 (28)*注記

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