地区診断における生命表の活用方法について

DOI

抄録

はじめに : 小集団の地区診断をする場合、5年ごとに厚生労働省から公表されている市区町村別生命表が使われるが、調査から2年後に公表されるため、これが実際の施策に反映されるには、さらに数年遅れとなり、すぐに次の調査年度となってしまうため、迅速性に欠ける。 研究方法と結果: 毎年の死亡統計を用いて、年齢階級別死亡率を計算し、生命表 死亡率曲線を作成し、これらの比較を試みた。 5歳階級別死亡率を用いた、生命表は 世界各地で作成されており、 過去100年にさかのぼる信頼性の高いデータとの比較が容易である。これらの各種の生命表死亡率を比較するこから  次の特性を読み取ることができた。  1)50歳以上の片対数グラフはゴンペルツの死亡法則により、直線で近似できることは、古くから知られている。この近似直線は  120歳死亡率10で 収束する。  2)15歳から 50歳の 漸近線は 85歳 死亡率0.3 で収束する。  3)15歳から 30歳までの 死亡率のピークは 独身から 家庭をもつまでの    環境変化で説明できる。  4)出生から15歳までの死亡率は傾き一定の 直線で減少している。(ワイブル分布)   男女とも 未婚と既婚の死亡率は 大きな差がある。 疫学統計など 医学統計は未婚既婚別に分けることを提案したい。以上の手法をもちいて、 戦前から2005年までの沖縄。青森、長野県の死亡特性の比較解析を試みた。その結果以下の知見が得られた。  5) 沖縄県本土復帰までの 乳児死亡率は 出生届が 提出されないことによる     死亡届欠損の疑いがある。  6) 青年期の沖縄男子の高死亡率は 戦前から見られる。 近年に見られる、青年期の高死亡率は  沖縄県の伝統的ライフスタイルの反映かもしれない。  7) 戦前期の青森、長野の高齢者の死亡率は 男女とも同レベルにある  8) 長野県高齢者女子死亡率が青森県よりも低下したのは 昭和50年から 55年の時点である。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205522465408
  • NII論文ID
    130006947342
  • DOI
    10.14879/nnigss.60.0.372.0
  • ISSN
    18801730
    18801749
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

問題の指摘

ページトップへ