足白癬・爪白癬治療の現状と問題点

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タイトル別名
  • Tinea pedis and Tinea unguium Present Status and Overcoming Issues

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説明

爪白癬の治療は、イトラコナゾール、テルビナフィンなどの新しい経口抗真菌薬の登場で、極めて進歩した。爪白癬の重症度分類(Scoring index for onychomycosis)は、病型、病爪の深さ、厚さなどの臨床因子と爪の伸長速度をもとにスコア化され、治療ガイドラインが提案されている。この評価基準は治療法の選択に役立ち、今後より良い基準が作られることが望まれる。一方、爪白癬の原因である足白癬の治療は、極めて重要であるが、明確な治療ガイドラインはない。足白癬の重症度分類も、定まったものは無いが、我々の私案は、足白癬を病期として早期(趾間の落屑、土踏まずの小水疱)、中期(趾間の浸軟、軽度の角化)、晩期(中等度以上の角化、爪白癬の合併)の3段階、病変の広がりとして、限局(片側の趾間または土踏まずの一部)、中間(片側の足のみ)、広範囲(両足)の3段階に分類し、組み合わせて6段階に分類した。1,2までは外用で十分、3,4は短期の経口剤の併用、5,6では、十分な経口剤の併用が望ましいと考えている。<BR>既に、われわれは、病院を足白癬以外の主訴で来院した患者の足の診察を行った。足白癬と診断されたものは、25%であり、そのうち59%で爪白癬を合併していた。潜在的足白癬の特徴は、症状スコアは低かったが、重症度分類では高かった。患者背景では、加齢、水虫罹患歴あり、足の形(趾間が閉じている)、成人病の合併あり、革靴の使用有りなどの場合、KOH検査が陽性になる傾向がみられた。また、過去に自衛隊員の足白癬の調査を行っているが、同様の結果であった。<BR>このように放置されている足白癬・爪白癬患者は、重症度が高く、治療を考えた時、ある程度の目安となる治療指針の作成が望ましい。外用抗真菌薬単独、外用抗真菌薬と経口抗真菌薬の併用の二面より検討する必要がある。足白癬の予防、足白癬の日常生活におけるcontrolの方法の改良、足白癬患者の受診率の向上などを検討する上でも、何らかの足白癬・爪白癬の重症度分類を作る必要がある。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205523423104
  • NII論文ID
    130006947877
  • DOI
    10.11534/jsmm.50.0.12.0
  • ISSN
    09164804
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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