肩関節水平外転時における肩甲帯の内転機能について
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- 亀山 顕太郎
- 松戸整形外科病院 リハビリテーション科
書誌事項
- タイトル別名
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- 投球障害群とコントロール群の比較
説明
【目的】本研究の目的は、肩関節水平外転時の肩甲帯の動きを、投球障害肩を有する選手とコントロール群で比較し、障害群にみられる特徴を明らかにすることである。<BR> 【方法】対象は、投球時の肩関節痛を主訴として当院を受診した10名〔年齢14.3歳±3.6〕(以下:障害群)と、クラブチームに所属している中学生で投球時に疼痛がない9名〔年齢13.4歳±0.68〕(以下:コントロール群)とした。なお、疾患名は問わず測定時に疼痛が生じるものは除外した。測定開始肢位は、ベッド上腹臥位で前腕をベッドより下垂し、肩関節外転90度、水平外転0度、肘関節屈曲90度、前腕回内回外中間位とした。被験者には前頭部をベッド上に接地し、肩関節を外転90度に保持しながら、最大限水平外転するように指示を与えた。その際の頭頂と肩峰を結んだ線と水平線とのなす角度を、頭側より水平角度計を用いて測定し、肩甲帯内転角度とした。測定は2度行い平均を求め、肩甲帯内転角度を各群および投球側と非投球側で比較した。<BR> 【結果】障害群の肩甲帯内転角度は、投球側が13.89°±6.98、非投球側が27.78°±3.42と、投球側は非投球側に比べ有意(p<0.01)に低下していた。コントロール群の肩甲帯内転角度は、投球側が42.22°±8.20、非投球側が42.78°±6.71と、投球側と非投球側の間に有意差はなかった(p>0.05)。また、障害群とコントロール群間の肩甲帯内転角度は投球側・非投球側ともに有意にコントロール群が大きった(p<0.01)。<BR> 【考察】投球側はcocking phaseからacceleration phaseにかけて、肩甲上腕関節への負担が少ないscapular plane上を保つために肩甲骨は極度に内転するといわれている。しかし、障害群の投球側のように肩甲帯内転機能が低下していれば、上腕骨がscapular planeを逸脱した動作になりやすく、このような状態での投球動作の繰り返しが障害発生の一要因になると考える。また、非投球側もコントロール群に比べ障害群は有意に低下していたことから、投球側の肩甲帯周囲に限定した問題ではないことが示唆された。今後は疼痛の出現するphaseごとでの特徴や骨盤周囲との関係など、肩甲帯の機能低下が及ぼす影響を明らかにしていきたい。<BR> 【まとめ】投球障害肩を有する患者は、コントロール群に比べ投球側、非投球側ともに肩甲帯内転角度が低下していた。さらに、障害群の投球側は非投球側に比べ肩甲帯内転機能の低下が認められた。肩甲帯内転機能の低下が、投球障害肩の一要因になっていることが推察された。<BR>
収録刊行物
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- 関東甲信越ブロック理学療法士学会
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関東甲信越ブロック理学療法士学会 26 (0), 101-101, 2007
社団法人 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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キーワード
詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390001205523453568
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- NII論文ID
- 130006947909
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- ISSN
- 2187123X
- 09169946
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可