肺の菌球から分離された <I>Scedosporium aurantiacum</I>

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  • <I>Scedosporium aurantiacum</I> isolated from a fungus ball of the lung in Japan

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近年,新興真菌感染症の原因菌のとしてScedosporium 属菌が増加傾向にある.今回,肺の菌球症例よりGilgadoらが 2005年に発表した新種 S. aurantiacumと推定される菌株を分離したので報告する.<BR>患者は73歳男性,下肺野に間質性肺炎,右肺尖部に空洞形成,内部には菌球が認められ,基礎疾患に関節リウマチ,糖尿病を有する.2005年10月に症状悪化の為入院加療.β-D-glu <=0.5 pg/ml,アスペルギルス抗原陰性,カンジダ抗原陰性であった.本年1月から連続して喀痰より同一の白色綿状の糸状菌が培養された.本分離菌株は,PDA,25℃培養でフェルト状,培養と共に中心部から灰色粉状,SDAでは黄褐色,中心部綿毛状,辺縁は葉状,両培地は黄変した.分生子は褐色,卵円形,球形,やや厚壁,細い分生子柄先端に単生,シンネーマからは無色,円筒形の分生子を着生していた.分生子がより丸みを帯び,菌糸側壁から直接あるいは小突起から生じ,最高生育温度は45℃である点が他のScedosporium 2菌種と異っていた.閉子嚢殻,子嚢胞子は産生しなかった.rRNA ITS の624塩基配列と形態からS. aurantiacumと同定された.本菌株の薬剤感受性は,NCCLS M38-A2法によるMIC80はITCZ 4μg/ml、MCZ 0.5μg/mlであったが,他の3剤には抵抗性であった.

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