1989~2006年の長崎大学病院における臨床検体分離カンジダ属の推移

説明

背景)カンジダ属は日常臨床で最も多く分離される真菌である。また、腸管や皮膚に常在している株がカンジダ血症へ進展することが指摘されている。カンジダ血症の病原真菌として、Candida albicans以外のnon-albicans Candida(NAC)の増加が指摘されているが、血液培養以外の検体におけるカンジダ属分離状況を検討したものは少ない。そこで我々は1989年から2006年までの長崎大学病院における臨床分離カンジダ属の推移を検討した。方法)1989年以降長崎大学第二内科と長崎大学病院検査部でカンジダ属が分離同定された検体を対象とした。1菌種につき1患者、1検体として年毎の推移を調査した。結果)分離カンジダ種は、2002年までは大きな変化を認めなかったが、2003年以降は2002年以前と比較して有意にNACの増加を認め、中でもCandida glabrataの増加が有意に認められた。考察)NAC分離頻度の原因として、検査方法の変化や検体種類の変化は認めなかった。また、抗真菌薬は、2002年よりミカファンギンが使用開始されたが、NAC分離頻度の増加と明らかな関係は認めなかった。当院では同時期より、移植医療、骨髄移植、抗癌化学療法の変化を認めており、NACに分類されるカンジダ種は、C.albicansと比較して、病原性が低く、免疫低下宿主の増加にしたがって増加したものと思われる。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205523579520
  • NII論文ID
    130006948022
  • DOI
    10.11534/jsmm.51.0.35.0
  • ISSN
    09164804
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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