抗CD20抗体リツキシマブが著効した致死的肺胞出血合併Wegener肉芽腫(WG)症例のリンパ球表面抗原の変化

Description

67歳男性。1997年発症のWGでステロイドと免疫抑制薬(CY,Az)併用で長期加療されたが消長を反復した。2010年3月より、発熱、呼吸困難が出現、増悪し4月8日当科緊急入院。喀血とともに、急速進行性の低酸素血症、PR3-ANCA高値、胸部CTで両肺の網状スリガラス影の拡大を認め、ICUでの人工呼吸器管理を要した。WG増悪による肺胞出血と診断し、ステロイドパルス療法を含む加療を行ったが、FiO2 1.0を脱せず致死的となった。末梢血フローサイトメーターにて、CD40/CD80を高発現したメモリーB細胞 (CD19+IgD-CD27+)の増加と、ICOSを高発現したCD4+メモリーT細胞の増加を確認したことから、IC取得後、倫理委員会承認のプロトコール(抗CD20抗体リツキシマブ375mg/m2 を1週間隔で2回投与)で加療した。2日後には速やかに解熱し、速やかに呼吸機能、画像上も肺病変の改善を認め5月13日退院となった。臨床経過と平行し、末梢血よりナイーブB細胞 (CD19+IgD+CD27-)及びメモリーB細胞 (CD19+IgD-CD27+)は速やかに除去され、同時にCD40/CD80の発現も低下、一方でCD4+T細胞上のICOSの発現も速やかに低下した。肺胞出血による既存治療抵抗性で致死的な呼吸不全に対しリツキシマブが著効し、その効果発現の機序として、活性化メモリーB細胞の除去とともに、共刺激分子を介したB-T細胞間相互作用の制御が示唆された。

Journal

Details 詳細情報について

  • CRID
    1390001205523936128
  • NII Article ID
    130006948205
  • DOI
    10.14906/jscisho.39.0.151.0
  • ISSN
    18803296
  • Text Lang
    ja
  • Data Source
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • Abstract License Flag
    Disallowed

Report a problem

Back to top