ペルテス病の術後における股関節可動域訓練

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  • ペルテス体操を導入して

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説明

【はじめに】ペルテス病は代表的な小児股関節疾患の1つである。治療法は、発症年齢、病期、大腿骨頭変形の状態などによって保存或いは手術療法が選択されるが、何れの場合にも関節可動域維持、拡大を中心とした理学療法が重要である。そこで今回、大腿骨頚部内反骨切り術々後の股関節可動域拡大を目的とした、股関節可動域訓練法(ペルテス体操)を考案し、新たな試みであるペルテス体操の内容とその実施結果について報告する。<BR> 【目的】術後の股関節可動域拡大を目指し、股関節可動域訓練法(ペルテス体操)を行い、大腿骨頭を健常な臼蓋に包み込んで関節可動域の維持、拡大、変形矯正、変形予防を図る。同時に、保護者が病室や自宅でも関節可動域訓練ができる様に指導を行う。<BR> 【方法】手術療法で7例(男子7名、平均7歳)に対して、ペルテス体操を含む理学療法を実施した。1)股関節屈曲―伸展 2)股関節外転―内転 3)股関節屈曲外転―屈曲内転 4)股関節屈曲外旋―屈曲内旋 5)股関節の複合運動の他動的関節可動域訓練(ペルテス体操)を痛みの出現しない範囲で各20回を目安に行う。また、指導用では、写真入りパンフレットを作成し、骨模型等を活用しながら保護者が理学療法士と共に実際に運動を行い、習得後は病室や自宅で自己訓練として行う。<BR> 【結果】各症例において、術前と比較して股関節可動域の維持、拡大は認められた。更に、入院中に保護者が行う自主訓練としての股関節可動域訓練(ペルテス体操)実施についても、術後の経過と共に的確に実施されていた。<BR> 【考察】ペルテス病の治療は、球形の大腿骨頭を形成することを目標としている。今回、手術療法で大腿骨頭を臼蓋に深く包み込むと同時に、ペルテス体操を取り入れた股関節可動域訓練によりあらゆる方向に股関節を動かし、関節可動域を向上させることで変形している大腿骨頭を球形にすることができたと考える。更に、股関節可動域訓練(ペルテス体操)をマニュアル化することによりセラピスト間の技術差を少なくすると共に、保護者が行うことで疼痛や関節可動域の状態把握に使用できると思われた。今後は、ペルテス病の治療には長期間を要することから、治療効果、指導の確立について更に経過を追うと同時に、症例数を重ねていく必要がある。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205523986560
  • NII論文ID
    130006948265
  • DOI
    10.14901/ptkanbloc.26.0.81.0
  • ISSN
    2187123X
    09169946
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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