左前腕の時計装着部位に生じた<I>Epidermophyton floccosum</I>による体部白癬の1例

Description

症例:73歳、男。主訴:左前腕の紅斑。現病歴:2006年8月、左前腕の時計装着部に一致して皮疹が出現した。以前湿疹で処方されたステロイド外用剤にて自己治療していたが、改善せず、皮疹が徐々に拡大したため、11月8日当科を受診した。現症:左前腕伸側遠位に小丘疹を伴い軽度浸潤をふれる類円形の紅斑を認めた。菌学的所見:KOH直接鏡検にて多数の菌糸を認め、SDA培地、25℃培養にて、黄褐色ビロード状のコロニーの発育を認めた。スライドカルチャーにて棍棒状の大分生子を豊富に認め、本菌をEpidermophyton floccosumと同定した。病理組織学的所見:真皮浅層の血管付属器周囲性に小円形細胞と組織球を主体とする炎症性細胞浸潤を認めた。PAS、グロコット染色にて真菌要素は確認できなかった。治療経過:テルビナフィン125 mg/日を9日間内服し、鏡検、培養とも菌陰性となった。その後ルリコナゾールクリーム1ヵ月間外用し、皮疹は略治し、以後再発を認めない。臨床的に生毛部急性深在性白癬を考えたが、組織学的に菌要素を証明しえず、体部白癬の診断にとどめた。近年、Epidermophyton floccosumによる白癬は減少傾向であり、比較的稀と考えた。

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Details 詳細情報について

  • CRID
    1390001205524303872
  • NII Article ID
    130006948460
  • DOI
    10.11534/jsmm.51.0.83.0
  • ISSN
    09164804
  • Text Lang
    ja
  • Data Source
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • Abstract License Flag
    Disallowed

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