小動物臨床獣医師を対象としたヒストプラズマ症に関する調査

説明

ヒストプラズマ症(ヒ症)は輸入真菌症の一つとして取り扱われてきた.近年,ヒトと動物で国内感染症例が相次いで報告されて以来,その原因菌である Histoplasma capsulatum は 国内に生息する唯一の高度病原性真菌の可能性が指摘されている.さらに,ヒトおよびイヌの国内感染例から検出した遺伝子はウマの仮性皮疽の原因である H. capsulatum var. farciminosum と近縁なため,接触感染の危険が示唆されている.一方,ヒ症に関する一般獣医師の認識度は不明である.そこで小動物臨床獣医師を対象にメールまたはファックスによる任意転送方式のアンケート調査を行ったところ 257 通(母数不明,小動物臨床従事者約 13,200 名の 1.9%に相当)の回答を得た.その結果,認識率はヒ症で約 75%と高かったが,仮性皮疽では約 50%,仮性皮疽が家伝法で届出伝染病であることは 30%以下,ヒ症と仮性皮疽が広義に同じ疾病であるとの認識は 24%にとどまった.またヒ症を法律で管理する必要性については 34%が必要ありと答えていた.しかし,国内感染によりヒトが発症したことについての認識は 15%,動物については 21%であり,国内発症例に対する認識は低いことが判明し,見逃されている症例が多く存在する可能性が推測された.<BR>【謝辞】調査に御協力いただいた獣医師の方々に厚く御礼申し上げます.また本研究は厚生労働省新興・再興感染症研究事業の補助により行われました.

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205524500864
  • NII論文ID
    130006948596
  • DOI
    10.11534/jsmm.52.0.143.0
  • ISSN
    09164804
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

問題の指摘

ページトップへ