ステロイド治療が及ぼすIgG4関連ミクリッツ病の唾液腺分泌能における長期的予後に関する検討

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抄録

【目的】ミクリッツ病(MD)は、涙腺・唾液腺組織への炎症細胞浸潤にも関わらず、シェーグレン症候群とは異なり、ステロイド(ス剤)治療によりその腺機能は短期的には改善を認める。しかし長期的にス剤治療を継続し、臨床的な寛解導入に成功した、または再燃を呈した症例の唾液腺機能を評価した報告はない。そこで今回、ス剤治療介入による、MDの唾液腺機能の長期的予後を検討した。 【方法】IgG4関連MDの診断基準を満たした23例を、現在の状況での寛解群15例、再燃群8例に分け、各々ス剤治療前、治療1か月後、現時点の唾液腺分泌能をサクソンテスト(ST)で評価した。 【結果】寛解群の治療前のSTは2.25±1.77(S.D.)g/2分であった。治療1か月後は2.97±1.71 g/2分と増加し、現在(治療期間28.1か月、平均PSL 4.67 mg/日)は2.87±1.63 g/2分と維持されていた。一方、再燃群の治療前は3.04±2.58 g/2分であった。治療1か月後は4.21±2.28 g/2分と増加したが、現在(治療期間42.9か月、平均PSL 7.63 mg/日)は2.17±1.38 g/2分と有意に悪化していた(p<0.05)。 【結論】寛解群ではス剤治療直後より、唾液腺機能は改善し維持され、一方、再燃群では一時的に腺機能は改善するも、その後有意に悪化した。従ってMDの疾患活動性と唾液腺機能は相関することが示された。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205525326464
  • NII論文ID
    130006949607
  • DOI
    10.14906/jscisho.37.0.163.0
  • ISSN
    18803296
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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