頭部白癬起因菌 <I>Trichophyton tonsurans</I> の real-time PCR を用いた早期検出法および遺伝子多型

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  • Rapid detection of <I>Trichophyton tonsurans</I> using real-time PCR

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説明

【はじめに】Trichophyton tonsurans は、頭部白癬の起因菌として知られている。2001 年に柔道部あるいはレスリング部員で本菌による集団発生が報告されて以来、現在では日本各地でその発生事例が報告されている。診断にはヘアーブラシ培養法が重要であり、その培養結果(スパク数)に基づた治療指針も提案されている。この度は、ヘアーブラシから培養を介さない real-time PCR 検出法および分離株の遺伝子多型について検討したので報告する。【材料および方法】柔道部員の頭部をブラシングし、ブラシを洗浄後 DNA を抽出した。これを鋳型とし TaqMan プローブを用いて real-time PCR によりブラシに付着した T. tonsurans DNA を定量した。さらに培養後得られた分離株の rDNA 中の variable internal repeat region (VIRR) をシーケンスした。【結果および考察】ブラシ培養後のスパイク数が概ね 5 以上では検出可能であり、スパイク数と DNA コピー数はほぼ相関した。分離された 120 株と外国分離株の VIRR は 7 型に大別されたが、日本株はすべて同一の遺伝子型を示した。以上、real-time PCR を用いることでブラシから特異的かつ迅速に T. tonsurans を検出・定量できることが示された。また本邦で流行している T. tonsurans は菌学的には単一であると推定された。

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