Modified Ashworth Scaleは痙縮を評価しているか
Description
【目的】<BR>痙縮評価指標のModified Ashworth Scale(MAS)は痙縮の程度との関連性の低さが指摘されている。本研究目的はMASの基準関連妥当性を明らかにすることである。<BR>【方法】<BR>同意を得た脳血管障害患者74人(年齢:77.5±10.0歳,性別:男31人/女43人,診断名:脳梗塞56人/脳出血12人/くも膜下出血6人,麻痺側:右32人/左42人,罹患期間:1084.2±2103.2日)を対象とし本庄総合病院倫理委員会の承認を得て実施した。麻痺側足関節底屈筋の筋緊張をMAS,Ankle Plantar Flexors Tone ScaleのStretch Reflex(SR),Middle Range Resistance(MR),Finale Range Resistance(FR),クローヌス持続時間(クローヌス)[秒],他動的背屈抵抗トルク(トルク)を用いて,膝伸展位(伸展位)と90度屈曲位(屈曲位)で測定した。MASは0~4(1+を含み6段階),APTSは各0~4(5段階)で,高値なほど筋緊張亢進を示す。SRとクローヌスは主に筋緊張の中枢性要素,MRとFR,トルクは主に末梢性要素を評価する。理学療法士1人が測定し1人が補助した。SRとクローヌスは”できるだけ速く”,MRとFR,トルクは”できるだけゆっくり”,MASは辻ら(2002)の方法を参考に”ゆっくり(全可動域を1秒)”筋を伸張して測定した。クローヌスは足クローヌス持続時間をストップウォッチで計測し,トルクは徒手筋力計のパッド中心を足底の第2中足骨骨頭に当て他動的に背屈し,最大背屈に必要な最小の力[N]を測り,内果下端から第2中足骨骨頭間の距離[m]を乗じて求めた。MASと各指標間のスピアマン順位相関係数を求め統計解析した(有意水準5%未満)。<BR>【結果(伸展位/屈曲位)】<BR>MASは1.9±1.1/1.3±1.0,SRは1.2±1.3/1.4±1.4,MRは1.4±0.9/0.8±0.8,FRは2.0±0.9/1.5±0.9,クローヌスは2.6±6.7/3.6±8.1秒,トルクは6.4±1.8/5.9±1.6Nmであった。MASとの相関係数は中枢性要素を示すSRが0.26/0.41,クローヌスが0.14/0.34,末梢性要素を示すMRが0.59/0.61,FRが0.67/0.68,抵抗トルクが0.55/0.51であった(伸展位クローヌスはp>0.05,伸展位SRはp<0.05,他は全てp<0.01)。<BR>【考察】<BR>痙縮は伸張反射の持続的亢進状態(Lance,1980)である。伸展位のMASとクローヌスは相関を認めず,屈曲位のMASとクローヌス,両肢位のMASとSRの間に弱い~中等度の相関を認めた。また両肢位のMASとトルク,MR,FRの間に中等度の相関を認めた。MASは中枢性要素とある程度の関連性を示すが末梢性要素をより強く反映すると考えられた。痙縮評価の基準関連妥当性は低いと示唆され,Bakheit ら(2003),関(2001)の報告を支持する結果であった。<BR>【まとめ】<BR>MASは痙縮というよりは主に筋緊張の末梢性要素を評価すると示唆された。
Journal
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- 関東甲信越ブロック理学療法士学会
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関東甲信越ブロック理学療法士学会 31 (0), 166-, 2012
社団法人 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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Details 詳細情報について
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- CRID
- 1390001205526000256
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- NII Article ID
- 130005451411
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- ISSN
- 2187123X
- 09169946
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- Text Lang
- ja
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- Data Source
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- JaLC
- CiNii Articles
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- Abstract License Flag
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