中心性頚髄損傷患者の症例~体幹の可動性の重要性について~

Description

【目的】<BR>日々の治療では経過を追うごとに治療内容を変更していくことが重要である。今回中心性頚髄損傷患者を担当し、経過の中でADLに改善が認められ、身体機能の中で特に体幹の可動域拡大は重要だと感じた。経過を振り返り、今後の治療に活かす事を目的に報告する。尚、発表に際し、本症例には研究の主旨を説明し、了承を得ている。<BR>【方法】<BR>症例は76歳女性。平成23年2月に中心性頚髄損傷によりC6以下の不全四肢麻痺を呈し救急病院へ入院。保存的治療、リハビリ後4月に当院へ転院。両上肢を中心とした四肢麻痺が強く残存。初期評価では関節可動域(右/左 単位:度)は頚部屈曲(40)頚部回旋(35/45)体幹屈曲(30)伸展(10)体幹回旋(15/15)股関節屈曲(90/90)股関節伸展(10/10)。筋力はMMT(右/左)にて上腕二頭筋(4/4)上腕三頭筋(3/3)体幹屈曲(3)体幹伸展(4)体幹回旋(3/3)。感覚検査では体幹から下位に感覚鈍麻、両手関節と、両足関節より遠位に痺れを訴えた。ADLは起居、移乗、歩行、排泄動作に介助を要した。初期評価から目標を夫の介護負担が軽減し、介助のもと自宅にて安全に生活する事をあげた。プログラムはストレッチ、体幹の他動と自動での可動域練習、立位バランス、起居、移乗、歩行練習を行った。症例の初期評価から退院時までの身体機能、ADLの変化を比較し考察を加えた。<BR>【結果】<BR>退院時、関節可動域は頚部屈曲(40)頚部回旋(55/50)体幹屈曲(40)伸展(30)体幹回旋(40/40)股関節屈曲(120/90)股関節伸展(20/20)。筋力はMMTにて上腕二頭筋(5/5)上腕三頭筋(4/4)体幹屈曲(3)体幹伸展(4)体幹回旋(4/4)。感覚は初期との変化は見られなかった。ADLは起居、移乗が自立し、歩行、排泄動作は介助量が軽減した。<BR>【考察】<BR>介入当初、体幹筋は長筋の伸張反射が過敏に働き、柔軟性を阻害していた状態だった。原因は廃用と受傷からの時間的加重が考えられた。この状態から継続的なストレッチを行う事で筋が脱力しやすくなり、結合組織の弾力性も向上し、筋が変化したと考える。また治療を進めていく中でプログラムをADL練習中心の内容から身体機能面中心の内容に変更した。結果、体幹の可動域が拡大し、体幹回旋、屈曲筋群が働きやすくなり、ADLに改善がみられた。<BR>今回症例の身体機能とADLの変化を経過の中で追え、プログラムの再検討を行えた。結果より効果的な治療につながったのではないかと考える。<BR>【まとめ】<BR>中心性頚髄損傷患者を担当した。経過を振り返り、体幹の可動域拡大の重要性を再認識した。今後は客観的な体幹機能を評価し、治療につなげて行きたい。

Journal

Details 詳細情報について

  • CRID
    1390001205526191872
  • NII Article ID
    130005451337
  • DOI
    10.14901/ptkanbloc.31.0_134
  • ISSN
    2187123X
    09169946
  • Text Lang
    ja
  • Data Source
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • Abstract License Flag
    Disallowed

Report a problem

Back to top