変形性膝関節症患者の体幹へのアプローチ

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【はじめに】<BR>両変形性膝関節症と診断され、主訴として歩行時のふらつきを訴えている症例を担当する機会を得た。上部・下部体幹の回旋に着目しアプローチを行い、若干の歩容の改善、主訴である歩行時のふらつき感が減少したためここに報告する。なお、本症例には説明を行い同意を得ている。<BR>【症例提示】<BR>70代後半 男性。診断名は両側変形性膝関節症。主訴は歩行時のふらつき、HOPEはふらつきなく歩行できるようになるである。<BR>【画像所見】<BR>Kellgren-Lawrence分類 Grade2<BR>【理学療法評価】<BR><治療前>ROM(右/左):体幹回旋35°/30°、股関節内旋5°/5°、外旋60°/65°<BR>MMT(右/左):腹斜筋群4/4、中殿筋4/4、大殿筋4/4<BR>歩行:両側とも立脚初期で膝関節内反・脛骨外旋がみられ、デュシャンヌ歩行がみられる。<BR><治療後>ROM(右/左):体幹回旋35°/35°、股関節内旋10°/10°、外旋60°/65°<BR>MMT(右/左):腹斜筋群4/4、中殿筋4/4、大殿筋4/4<BR>歩行:両側とも立脚初期での膝関節内反・脛骨外旋の減少、デュシャンヌ歩行の減少がみられた。<BR>【治療】<BR>殿筋群ストレッチ、脊柱・肋骨のモビライゼーション、上部・下部体幹にわけての回旋運動<BR>【考察】<BR>中殿筋筋力にあまり筋力低下がみられないがデュシャンヌ歩行が生じている原因として外側スラストにより膝関節内反位が増強され、大腿骨が外転位となり中殿筋の筋出力が発揮しにくい状態となっていることが考えられる。また、体幹回旋・股関節内旋可動域制限のために骨盤の後方回旋が行えず体幹の立脚側への側屈で遊脚側下肢の振り出しを代償していることを考えた。<BR>外側スラストは立脚初期の急な膝関節内反・脛骨外旋、その後の過度な内反と言われている。外側スラストにより脛骨が外旋すると相対的に大腿骨が内旋するため、より大殿筋筋力が必要となり体幹・骨盤の安定性が低下すると考えられる。体幹の回旋を促すことにより立脚初期に立脚側の股関節外旋・骨盤前方回旋、遊脚側の股関節内旋・骨盤後方回旋が生じやすくなり、脛骨の外旋が制動され外側スラストの減少につながったと考えられる。また、骨盤回旋が行いやすくなったことが股関節周囲の筋力を発揮しやすい環境となりデュシャンヌ歩行の減少となり歩行時のふらつきが減少したと考えられる。<BR>【おわりに】<BR>変形性膝関節症患者においても体幹機能が重要であることが再認された。また、症例数を増やしさらに体幹回旋と外側スラストの関係性について調べていく必要があると感じた。

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  • CRID
    1390001205526204416
  • NII Article ID
    130005451355
  • DOI
    10.14901/ptkanbloc.31.0_125
  • ISSN
    2187123X
    09169946
  • Text Lang
    ja
  • Data Source
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • Abstract License Flag
    Disallowed

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