病院業務における高校サッカー部へのサポート活動の取り組みと傷害予防に対する意識調査の報告

DOI

抄録

【目的】<BR>病院業務の一環として、高校での部活練習、試合及び試合前のメディカルチェック、コンディショニングサポート活動(以下、サポート活動)に介入した。選手の傷害予防の取り組みに対して意識変化が見られたので報告する。<BR> <BR> 【対象と方法】<BR>H21年8月~H22年7月までの1年間 県内高校サッカー部1・2年45名を中心に理学療法士2名により週1回介入し、アンケート調査を基に競技の傷害特性、介入の有効性について検討を行った。監督・選手には十分な説明を行い、同意を得た上で実施した。<BR><BR> 【結果】<BR>傷害部位として多かったものは、足関節・足部31%(14件)・膝関節11%(5件)・腰背部9%(4件)であった。怪我をした中で、何らかの医療機関に受診したのが78%(35名)であった。その中でも、当院受診をした選手は27%(12名)で、うち、実際にリハビリテーションを施行したのは16%(7名)であった。怪我の発生時期としては、練習中40%、試合中29%であり、トレーニング中に関しても16%生じていた。怪我をした時の状況としては、「相手との競り合い時」31%、「ドリブルなどのボールを蹴りながら走っている時」9%、「シュートなどのボールを蹴った時」4%、「ジャンプの着地時」2%、「分からない」18%であった。怪我をした時の原因因子として、「相手との接触状況が明らかにあった」49%「接触はなかった」22%、「分からない」22%であった。選手の怪我に対しての意識変化があったのは、全体として70%であった。具体的な意識変化の内容としては、怪我の予防に対しての意識が変わった、理学療法士が介入することで安心感が得られた、ケアの仕方やトレーニング方法を学べた、怪我について相談しやすくなったなどが挙げられた。<BR><BR> 【考察】<BR>今回、サッカー競技の傷害特性において、事前に選手への傷害予防に対する研修会を定期的に開催したことや、スポーツ現場に理学療法士が介入することで、怪我に対しての相談窓口になっていることなどからも、選手自身が傷害予防への取り組みに対する意識の変化が見られたと考えられる。接触状況下での外傷発生が多いことから、個々の身体機能能力のレベルや反応能力、外傷発生に関係しやすいプレイ、動作のパターンなども経過的に追っていく必要があると考えられる。病院業務の一環としてのサポート活動の介入が行えたことは、選手を取り巻く環境の中で、理学療法士と監督・コーチ・医師との連携が取りやすく、選手にとっても早期に適切なリハビリテーションが提供できる環境であり、大きな怪我もなく、選手自身の傷害予防に対する意識にも繋がったと考えられる。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205527000704
  • NII論文ID
    130006950232
  • DOI
    10.14901/ptkanbloc.30.0.215.0
  • ISSN
    2187123X
    09169946
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

問題の指摘

ページトップへ