肩甲骨の可動性と重心動揺の関係性について

  • 濱田 康太
    山梨リハビリテーション病院 リハビリテーション部 理学療法課
  • 鮎川 将之
    山梨リハビリテーション病院 リハビリテーション部 理学療法課
  • 伊藤 克浩
    山梨リハビリテーション病院 リハビリテーション部 理学療法課
  • 廣瀬 昇
    帝京科学大学 医療科学部 理学療法学科
  • 桐山 希一
    つくば国際大学 医療保健学部 理学療法学科

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【目的】一般的には肩甲骨の分離・選択的運動は平衡反応に寄与すると言われており、また、肩甲骨の可動性は体幹特に胸椎の可動性と相関を認め、内山らは胸椎の可動性はバランス能力と関係が深いとしている。しかし、本邦において肩甲骨と立位バランス能力についての報告は少ない。そこで、今回は若年健常成人男性を対象とし、重心動揺計を用いて肩甲骨の可動域が静的・動的バランス能力に影響を及ぼすのかどうかを検証した。<BR> 【方法】対象は本研究に同意の得られた若年健常成人男性6名(平均年齢20.8±1.72歳)とした。実験方法は肩甲骨の可動域測定と重心動揺計測を実施し検討した。肩甲骨の可動域測定は端座位にて体幹伸展を保持させ、他動的に肩甲骨を挙上・下制・内転・外転方向へ動かし、経皮的にメジャーを用いて行った。各測定の詳細は1)挙上・下制はTh3棘突起の高さを基準とし、肩甲棘三角までの移動範囲、2)内転・外転は肩甲棘三角からTh3棘突起を通る座面からの垂線までの距離とした。重心動揺計測はActive Balancer EAB-100 (酒井医療社製)を用い、サンプリング周波数20Hzにて以下の2条件に対し30秒計測した。静的バランス検査として両側踵骨中心間距離を10cmとした開閉眼立位、開眼片脚立位の総軌跡長・外周面積・矩形面積・単位面積軌跡長を計測した。また、動的バランス検査として対象者に口頭指示により最大に前後・左右へ重心移動を行い移動距離の計測をした。統計処理はKruskal Wallis H-testを用いて行った。なお、有意水準は5%未満とした。<BR> 【結果】肩甲骨の可動域は静的・動的バランス検査の各項目に相関関係を認めなかった。<BR> 【考察】重心動揺計の移動距離の項目は重心動揺の距離・大きさ、動揺面積の項目は重心動揺の広がりを示すパラメータである。今回の研究では若年健常成人男性において肩甲骨の可動域は静的・動的バランス検査の各項目との関係性が低いことが推測された。これは、通常我々が立位場面においてバランス機能を発揮する際には、肩甲骨の可動域よりも、その他の関節の果たす役割の方が大きかったと考えられる。<BR> 【まとめ】今回、若年健常男性において肩甲骨の可動域は静的・動的バランス検査の各項目との関係性が低いことが分かった。そのため、静的・動的バランス能力においてどの関節が大きく影響を及ぼすのかを筋電図や三次元動作解析装置なども用い今後も検討していきたいと考えている。<BR>

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  • CRID
    1390001205527267072
  • NII Article ID
    130006950384
  • DOI
    10.14901/ptkanbloc.29.0.158.0
  • ISSN
    2187123X
    09169946
  • Text Lang
    ja
  • Data Source
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • Abstract License Flag
    Disallowed

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