医療保険療養病棟における臨床指標の比較

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抄録

【目的】2009年5月、当院は病棟再編に伴い、医療療養病棟2フロアのうち1フロアの病床数を51床から34床に変更した。当院リハビリテーション部門は、病床数変更後も医療療養病棟の専従理学療法士配置数を5名のまま変更しなかったことで、より手厚い理学療法サービスを提供できる体制となった。そこで、療養病棟での理学療法量が臨床指標に及ぼす影響を明らかにして、理学療法士の適正な専従配置数を検証することを目的とし、病床数変更前・後の臨床指標を比較検討したので報告する。<BR> 【方法】2009年3月1日から8月31日に調査対象病棟に入院し、理学療法を実施した患者を対象とした。対象を病棟再編前の3月1日から5月31日の期間内に入院していた患者(以下、pre群)、病棟再編後の6月1日から8月31日の期間内に入院していた患者(以下、post群)の2群に分類し、診療録から収集した以下の項目を比較した。i.理学療法士の1日平均実施患者数(人/日)、ii.理学療法士の1日平均実施単位数(単位/日)、iii.患者1人1日当たりの理学療法平均実施単位数(単位)、iv.退院率(%)、v.死亡率(%)、vi.急性期病棟転棟率(%)、vii.転倒・転落率(%)、viii.抑制率(%)、ix.起立台練習実施率(%)。統計学的検討にはt-test、Chi-square testを用い、有意水準は5%とした。<BR> 【結果】pre群は81名(83.2±10.1歳、女性38名、医療区分1が64.2%、2が17.3%)、post群は49名(82.2±10.1歳、女性32名、医療区分1が73.5%、2が10.2%)であった。各指標は、i.pre11.5、post9.1(p<0.05)、ii.pre15.2、post17.0(p<0.05)、iii.pre1.8、post2.3(p<0.05)、iv.pre30.9、post28.6、v.pre13.6、post8.2、vi.pre7.4、post8.2、vii.pre4.9、post10.2、viii.pre74.1、post69.4、ix.pre6.2、post18.4(p<0.05)であった。<BR> 【考察】今回の病床数の変更により、受け持ち患者数が減少したことで、患者一人当たりに費やす時間が増加して業務効率が向上し、直接的サービス提供時間も増加したと考えられる。このことから、34床に対して5人という療法士配置数が病床数変更前より適正となった可能性が示唆されたと考える。<BR> 【まとめ】今回、理学療法量が臨床指標に与える影響を検討し、34床に対して5人という療法士配置数が病床数変更前より適正となった可能性が示唆された。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205527694848
  • NII論文ID
    130006950549
  • DOI
    10.14901/ptkanbloc.29.0.211.0
  • ISSN
    2187123X
    09169946
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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