血清アルブミン値とリハビリテーション効果
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- 輪違 弘樹
- 中村病院 リハビリテーション科 中村病院 栄養サポートチーム(NST)
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- 川上 榮一
- 同愛記念病院 リハビリテーション科
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- 黒飛 浩二
- 中村病院 リハビリテーション科
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- 竹島 勝也
- 中村病院 リハビリテーション科
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- 久保田 修
- 中村病院 リハビリテーション科
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- 橋本 彩弥香
- 中村病院 リハビリテーション科
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- 大林 櫻子(NUT)
- 中村病院 栄養サポートチーム(NST)
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- 丸山 二美子(MT)
- 中村病院 栄養サポートチーム(NST)
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- 吉田 信司(MD)
- 中村病院 栄養サポートチーム(NST) 中村病院 総合診療科
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- 中村 隆
- 中村病院 総合診療科
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説明
【目的】<BR> 近年, 栄養サポートチーム(以下NST)稼働施設は急増しており, それに伴いリハビリテーション(以下RH)栄養の先行研究報告は増加しているが, 十分なEBMは示せていない.<BR> 高齢者の栄養障害は, 日常生活活動 (以下ADL)や生活の質 (以下QOL)を低下させるだけでなく, 呼吸機能低下や創傷治癒の遅延, 生体の防御機構である免疫能を低下させ, 生命予後を大きく左右する. RHに適切な臨床栄養管理を並行することで, RH効果は高まると考える.<BR> 本研究の目的は,栄養状態とRH効果を後方視的に調査し, その関連を明らかにすることである.<BR> 当研究はヘルシンキ宣言に沿って, 対象者に研究の主旨を説明し, 同意を得た上で実施した.<BR><BR> 【方法】<BR> 対象者は, 2010.6月~2010.10月に当院一般病棟を自宅退院した症例73名.栄養状態の指標は入院約3週間後の半減期血清アルブミン値(以下Alb値)を用い, 栄養状態正常群(Alb3.5以上,以下正常群), 栄養状態低値群(Alb値3.5未満,以下低値群)に分類し, RH介入前後のBarthel Index(以下BI),RH施行日数を比較検討した. 統計処理はt検定を用い, 有意水準は0.05以下とした. <BR> <BR>【結果】<BR> 正常群は29名(男女比7:22 平均年齢は77.0±10.9歳), 低値群は44名(男女比15:29 平均年齢83.8±10.2歳)であった. RH開始時の平均BIは正常群87.9±13.8, 低値群34.0±24.1で, 正常群が有意に高かった. RH施行日数は正常群18.3±12.2日, 低値群28.3±18.3日で, 正常群が有意に短かった. 退院時のAlb値、BIは正常群、低値群ともに有意に上昇している. RH開始時のAlb値(入院約3週間後の半減期Alb値)とRH施行日数(開始から退院までの日数)には有意な相関があった. RH開始時のBIとRH施行日数には有意な相関はみられなかった.<BR> <BR>【考察】<BR> 低値群では早期から積極的なRHはかえって生命維持のための栄養素の同化を阻害し, 異化を助長させてしまう可能性が高く, RHが逆効果になることが考えられるので, 今後の検討を要する.<BR> 低値群の症例では全身状態を理解し, 臨床栄養管理と早期から無理のない適切なRHや効率の良い動作指導することが重要になっていく可能性があり, 患者のADLやQOLの向上をより期待できると考えられる. そのためには, RHスタッフは栄養スクリーニングや評価を実施し, その患者の栄養状態に見合ったRHプログラムを立案することが望ましいと考えられる.<BR> 今後の検討課題として,低栄養症例へのRH効果を明らかにできる評価方法を模索し, RHにおいてPTが発揮できる専門性や, 低栄養症例のPTアプローチを考えていくことが重要である.<BR> <BR> 【まとめ】<BR> 今後, 高齢化社会が進む中, 栄養障害患者の増加が予想される. そのため栄養状態を考えたRHを実践することは運動機能・ADLの向上のために重要である.
収録刊行物
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- 関東甲信越ブロック理学療法士学会
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関東甲信越ブロック理学療法士学会 30 (0), 65-65, 2011
社団法人 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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キーワード
詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390001205528099712
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- NII論文ID
- 130006950732
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- ISSN
- 2187123X
- 09169946
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可