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脳血管障害に起因する右半球損傷により失語症を呈した非右手利き例の検討
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- 失語症以外の神経心理学的所見に着目して
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Description
【はじめに】<BR> 非右手利き者が右半球損傷後に失語症を呈した場合、本来は左半球に存在する言語中枢機能の側性化が部分的ないしは完全に右半球に移行した結果と考えられている。一方、このような症例のその他の大脳半球機能局在(側性化)については報告例が極めて少なくその実態は明らかでない。本報告は、右半球損傷により失語症を呈した非右手利き例における注意障害や左半側空間無視(以下左USN)、失行などの神経心理学的所見について調べることを目的とした。<BR><BR> 【対象】<BR> 2004年10月から2011年3月までに当施設を利用し、診療録より確認し得た脳血管障害に起因する非右手利き(両手利き、矯正歴のある右手利きを含む)66例中から、右半球損傷により失語症を呈した8例を分析対象とした。<BR><BR> 【方法(8症例の分析)】<BR> 性別、発症時年齢、初回評価時の発症後期間、神経学的所見、神経心理学的所見について後方視的に調査した。神経心理学的所見については経過を含め分析した。<BR><BR> 【結果】<BR> 性別は男性6名、女性2名、発症時年齢は40~74歳(平均60歳)、初回評価時の発症後期間は32~71日(平均48日)であった。一般神経学的所見として、視野障害1例、運動障害(左片麻痺)8例、感覚障害8例を認めた。神経心理学的所見として、Broca失語2例、混合性失語2例、全失語3例、視床性失語1例を認めた。また、注意障害7例、左USN7例、観念運動性失行1例を認めた。注意障害は遷延する傾向がみられた。左USNは急性期を過ぎた回復期の時点で残存していたが、机上検査および生活上の評価で軽度に認めるものであった。<BR><BR> 【考察】<BR> 対象8例において失語症以外の神経心理学的所見は、7例に注意障害、7例に左USN、1例に観念運動性失行を認めた。左USNは軽度で改善傾向にはあったが、発症後数週間を過ぎた時点でも残存しており、右手利き例の右半球損傷で出現する左USNと同様の発現機序(側性化)が関与したと考えられる。しかし、1症例においては右MCA基部の梗塞を呈し、重度の左USNの併発が予測されたがその症状は極めて軽度であった。同症例は観念運動性失行も認めており、言語機能だけでなく視空間性注意や高次行為に関わる機能の局在も反転した可能性が推察された。<BR> 右半球損傷例は注意障害や左USNを伴うことが多いことから、左半球損傷例に比べ基本動作能力やADL面での予後不良例が多い。非右手利き例の右半球損傷の場合、失語症を呈す可能性がある上に、注意障害や左USNを合併する可能性があり、予後に影響する因子が多くリハビリテーションの実施においては十分に配慮されなければならない。
Journal
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- 関東甲信越ブロック理学療法士学会
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関東甲信越ブロック理学療法士学会 30 (0), 254-254, 2011
社団法人 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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Details 詳細情報について
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- CRID
- 1390001205528580096
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- NII Article ID
- 130006950817
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- ISSN
- 2187123X
- 09169946
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- Text Lang
- ja
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- Data Source
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- JaLC
- CiNii Articles
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- Abstract License Flag
- Disallowed