母趾反復動作と母趾単純反応時間との関係
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説明
【目的】<BR>現在、高齢化が進み高齢者の転倒が問題となっている。転倒歴のある群とない群に分けた際に転倒歴のある群はない群に比べて下肢の単純反応時間(Reaction Time、以下RT)が有意に遅延していたと報告されている。本研究の目的は、母趾のRTと母趾運動の敏捷性との関係を明らかにすることである。<BR>【方法】<BR>健常成人男性24名48肢(年齢30.9±16.2歳、身長168.7±6.7㎝、体65.6±15.3㎏)を対象とした。対象者には研究の内容を十分に説明し同意を得られた者とした。RTの計測は、被験者が青色LEDを確認し素早く母趾で圧力センサーを押すと赤色LEDが発色するようにした。計測は青色LEDが発色し、赤色LEDが発色するまでの時間を5施行計測した。データ処理は、5施行計測したうちの最小値、最大値を除外した3施行の平均値を用いた。母趾を床面に押し付けて離す母趾反復運動(Hallux Repetition Motion以下HRM)は、母趾で圧力センサーを押す離す反復動作を10秒間行った。足元には青色LEDを置きセンサーに圧がかかると赤色LEDが発色、音が発生するように設定した。10秒間に赤色LEDが発色した回数を測定した。使用機器は37Hzで処理するマイコンピューター(arduino社製)を使用した。測定肢位は、椅子座位にて母趾と床面の間に圧力センサーを設置し、足部の代償を少なくするために前足部をバンドにて固定した。また、基準関連妥当性を検討するため、RTとHRMの関係をpearsonの相関係数を用いて検討した。なお有意水準はp<0.05とした。<BR>【結果】<BR>RTは292.7±26.3sec、HRMは27.4±6.3回であった。RTとHRM間にr=-0.71と有意な高い負の相関が認められた。<BR>【考察】<BR>本研究は、計測を正確に行うのにあたり床面に圧力センサーを用いて、HRMを行い、単純反応時間の関係を分析した。<BR>HRMは母趾が床面を押し離す随意的最速の反復運動で、光を認識したら押すという単純反応時間を反映する動作であり、母趾の反復運動速度の低下が転倒リスクの要因となる可能性があると考える。また、HRMより病的なRTの遅延をとらえられる可能性がある。<BR>【まとめ】<BR>HRMはRTと有意に高い負の相関が認められ、基準関連妥当性が明らかになった。
収録刊行物
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- 関東甲信越ブロック理学療法士学会
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関東甲信越ブロック理学療法士学会 31 (0), 305-, 2012
社団法人 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390001205528717952
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- NII論文ID
- 130005451530
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- ISSN
- 2187123X
- 09169946
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可