化粧品の安全性研究の紹介―代替法開発を中心に―

DOI
  • 廣田 衞彦
    (株)資生堂 品質評価センター 安全性研究開発室 安全性技術開発グループ

書誌事項

タイトル別名
  • The safety research of cosmetics; development of methods for non-animal safety assessment

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抄録

化粧品は,薬事法の定義により「人の身体を清潔にし,美化し,魅力を増し,容貌を変え,又は肌若しくは毛髪をすこやかに保つために,身体に塗擦,散布その他これらに類似する方法で使用されることが目的とされている物で,人体に対する作用が緩和なものを言う。」と定められている。「新規原料を配合した化粧品の製造又は輸入申請に添付すべき安全性資料の範囲について」が1987 年に厚生省から発表されて以来,化粧品の安全性試験(9項目)は主として動物を用いる試験でヒトの安全性を予測することが指針となっていた。<br>しかし,2001年4 月に規制が緩和され本公的指針は廃止され,化粧品の安全性評価は原則,企業の自己責任に基づいて行うことになり,安全性と信頼性が従来にも増して求められている。<br>一方で,1980年代の動物愛護運動に端を発し,欧州においては,化粧品指令第7次改正において,2013/3以降に動物実験を実施した原料を配合した化粧品のEU域内での販売を禁止すること(一部の試験については,2009年に禁止)が規定されているため,動物代替法開発に関する大規模なプロジェクトが進行している。日本においても,多くの代替法開発に関する研究開発が産学問わず行われ,日本動物実験代替法学会や本学会においても,数多くの研究成果が報告されている。このことは,代替法に関する研究開発が,毒性研究の重要な分野の一つであることを示している。<br>弊社においても,単回投与毒性試験,皮膚刺激性試験,感作性試験,光感作性試験,光毒性試験,眼刺激性試験の代替法開発について,単独または共同研究を通じて,取り組んでおり,いくつかの研究成果を報告している。さらに,他の毒性試験の代替法開発にも取り組んでいる。<br>このような背景の中,本演題では,化粧品開発における安全性評価研究について,弊社における動物実験代替法開発の取り組みを中心に紹介し,将来を担う若手研究者における安全性分野を中心とした企業研究の一助としたい。

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