カニクイザルの4日間絶食による各種毒性パラメータの変動
書誌事項
- タイトル別名
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- Effects of 4-day fasting on toxicological parameters in cynomolgus monkeys
説明
【目的】医薬品などの非臨床安全性試験において,摂餌量低下を伴う状態悪化がみられることがある.この時の各種毒性パラメータの変動が化合物による臓器毒性起因か,摂餌量低下による二次的影響かを見分けることは毒性評価上重要である.そこで,摂餌状況悪化の影響検討の一環として,カニクイザルに4日間の絶食を施し,各種検査に及ぼす影響を検討した.<br>【材料・方法】雌雄各4匹のカニクイザル (4~5才)を用いた.108 gの固型飼料 (HF Primate,Purina Mills)を絶食初日の14時~16時に給餌後,17時に残餌を回収し,この時点を基準 (絶食0時間)とし,4日間の絶食状態とした.水は自由摂取させた.各4日間の通常飼育及び絶食期間中に経時的に一般状態観察,体重測定,摂水量測定,尿検査,血液学的検査,血液生化学的検査,血漿中コルチゾール・コルチゾン濃度測定を実施した.また,4日間絶食後に7日間の給餌再開期間を設けて3及び7日後に検査し,絶食による変化の回復性を調べた.<br>【結果・考察】4日間の絶食で,体重が平均で約10%減少した.尿検査ではpHの低下及びケトン体の上昇がみられた.血液生化学的検査では,ブドウ糖 (Glu),トリグリセリド (TG),Ca,Na,Clの低下,ビリルビン (Bil: 直接及び間接),尿素窒素 (UN),無機リン (IP),コルチゾールの増加がみられた.上記毒性パラメータの変動は,絶食開始後2日目から生じ,給餌再開3日目に概ね回復した.摂水量,血液学的検査値,コルチゾンに影響はみられなかった.以上の結果,カニクイザルを用いた非臨床試験において摂餌状況悪化がみられた場合,尿pH,ケトン体,Glu,TG,Ca,Na,Cl,Bil,UN,IPの変動に留意する必要があり,臓器毒性の関与がない場合は,摂餌状況が正常になれば上記変化は概ね3日以内に回復すると考えられた.
収録刊行物
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- 日本毒性学会学術年会
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日本毒性学会学術年会 43.1 (0), P-268-, 2016
日本毒性学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390001205544842624
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- NII論文ID
- 130005260835
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可