メチル水銀によるアストロサイト神経栄養因子の発現亢進とその神経保護作用
書誌事項
- タイトル別名
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- Enhanced expression and neuroprotection of neurotrophins elicited by methylmercury in astrocytes
抄録
環境化学物質であるメチル水銀は、知覚障害や運動失調、視野狭窄、聴力障害など、様々な神経系障害を引き起こす神経毒である。メチル水銀の主な標的はニューロンであるが、メチル水銀はアストロサイトに優先的に蓄積することや、水俣病患者の脳で活性化アストロサイトの集団であるグリオーシスが認められることが報告されており、メチル水銀とアストロサイトとの関連性が示唆されている。そこで、本研究では、メチル水銀によるアストロサイトへの作用について遺伝子発現変化に焦点をあてて解析し、さらに、メチル水銀により生じるアストロサイト機能変化の意義について検討した。ラット初代アストロサイトをメチル水銀で処置し、液性因子の遺伝子発現を解析したところ、ニューロトロフィンファミリーである神経成長因子(NGF)と脳由来神経栄養因子(BDNF)の発現が上昇することが明らかとなった。さらに、アストロサイトは、NGF、BDNFの二量体を細胞外に放出した。メチル水銀に暴露したアストロサイトの培養液(conditioned medium: CM)は、メチル水銀刺激からニューロンを保護したが、NGF、BDNFの中和抗体やNGF、BDNFの受容体アンタゴニストにより保護効果は消失した。従って、アストロサイトはメチル水銀に応答してNGFとBDNFを合成・分泌し、メチル水銀毒性からニューロンを保護していると考えられる。アストロサイトをメチル水銀で処置すると転写因子Nrf-2の活性が上昇した。さらに、抗酸化薬の前処置により、NGFとBDNFの発現は抑制された。メチル水銀処置によりヘムオキシゲナーゼ-1(HO-1)の発現が上昇しており、HO-1の阻害薬ZnPPの前処置により、NGFとBDNFの発現が減弱した。従って、アストロサイトのニューロトロフィン発現上昇を介した神経保護作用にはNrf-2-HO-1経路が関与していると考えられる。
収録刊行物
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- 日本毒性学会学術年会
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日本毒性学会学術年会 43.1 (0), O-14-, 2016
日本毒性学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390001205546101376
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- NII論文ID
- 130005260571
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可