環境水・底質・魚類からの有機フッ素化合物の検出

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タイトル別名
  • Detection of perfluorinated compounds in environmental water, sediment, and fish

抄録

【目的】残留性有機汚染物質(POPs)である有機フッ素化合物(PFC)は、広く環境中から検出され、野生動物等に蓄積して人や動物への毒性が危惧されている。本研究では、PFCsの汚染実態を把握するため、わが国の魚類、環境水、底質中のPFCs分析を行い、環境中における濃度と魚類への蓄積状況について検討した。<br>【方法】サンプルは、2013~2014年にかけて岩手、茨城、新潟、石川、静岡、兵庫、山口、愛媛、福岡、長崎から採取した。魚類としてはメダカを選定し、福岡ではカダヤシも併せて採取した。環境水及び底質は各地点1サンプル、メダカは各地点20~40匹、カダヤシは12匹採取した。分析対象PFCsは、Perfluorosulfonates(CXS)のC4S、C6S、C7S、C8S、C10S、Perfluorocarboxylates(CXA)のC5A~C14Aとした。<br>【結果と考察】環境水や底質からはPFOA(C8A)~C12Aが、メダカ・カダヤシからはC9A~C13A、PFOS(C8S)が高率に検出された。C8SとC9Aでは、環境水と底質の濃度間で相関が認められた。メダカとカダヤシでは、濃縮係数に差はあるものの蓄積傾向は同様であった。CXAの魚体への蓄積は炭素数に応じて増加し、C8Sの蓄積量はそれより大きかったが、オクタノール/水分配係数を考慮すると、同一の傾向が認められた。C8Sはストックホルム条約等により2009年から使用等が規制され、C8AはUSEPA主導の業界自主規制により2010年までに環境への排出量が95%削減されているにもかかわらず、未だにC8S、C8Aが環境中に残留しており、それ以外のPFCsも検出される実態が明らかとなった。このことから、今後もこの研究を継続していくことが重要であると思われた。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205546117504
  • NII論文ID
    130005260620
  • DOI
    10.14869/toxpt.43.1.0_o-16
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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