ラットにおける代謝を考慮したカルバマゼピン誘導性肝障害のメカニズム解析

DOI
  • 飯田 あずみ
    金沢大学 医薬保健研究域 薬学系 薬物代謝化学研究室
  • 矢野 梓
    金沢大学 医薬保健研究域 薬学系 薬物代謝化学研究室
  • 常山 幸一
    富山大学 医学薬学研究部 病理診断学講座
  • 深見 達基
    金沢大学 医薬保健研究域 薬学系 薬物代謝化学研究室
  • 中島 美紀
    金沢大学 医薬保健研究域 薬学系 薬物代謝化学研究室
  • 横井 毅
    金沢大学 医薬保健研究域 薬学系 薬物代謝化学研究室

書誌事項

タイトル別名
  • Involvement of metabolic activation of carbamazepine in liver injury in rat

説明

【目的】薬物誘導性肝障害は医薬品開発および薬物治療において重大な問題である。肝障害発症には代謝酵素により生成される反応性代謝物の関与が考えられているが,薬物誘導性肝障害の動物モデルを用いて肝障害と代謝物の関与を明らかにした報告は極めて少ない。本検討ではラットを用いて,副作用として肝障害が報告されているcarbamazepine (CBZ) による肝障害モデルを作製し,経時的に代謝物の血漿中濃度を測定することにより発症メカニズムを明らかにすることを目的とした。<br>【実験方法】9週齢の雄性F344ラットにCBZ (400 mg/kg in corn oil, p.o.)を4日間投与し,5日目にCBZ (600 mg/kg) とglutathione (GSH) 合成阻害剤であるL-buthionine sulfoximine (BSO: 700 mg/kg in saline, i.p.) を併用投与した。その後,経時的に血漿および肝臓を採取し,血漿中のALT値とAST値の測定および肝臓の組織学的評価を行った。また,HPLCによりCBZとその代謝物の血漿中濃度を測定した。CYP3A阻害剤であるketoconazole (KTZ) およびtroleandomycin (TAO) または誘導剤であるdexamethazone (DEX) の投与により,肝障害に対するCYP3Aの影響を検討した。<br>【結果および考察】BSO併用投与によりCBZ最終投与24時間後に約半数の個体において,ALT値およびAST値の顕著な上昇と肝組織において広範なネクロ―シスが認められ,GSH枯渇下での反応性代謝物の生成が肝障害発症に関与する可能性が考えられた。2-OH CBZや3-OH CBZの血漿中濃度測定を行ったが,肝障害が発症した個体と発症していない個体間で大きな差は認められなかった。KTZまたはTAOの併用投与により,全ての個体においてALT値の上昇は認められなかった。一方,DEXによるCYP3Aの誘導後,BSOとCBZ 400 mg/kg単回投与によって肝障害が惹起された。以上の結果から,原因代謝物はまだ同定できていないものの,CYP3Aによる代謝が肝障害の惹起に関与することが示唆された。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205546156032
  • NII論文ID
    130004676518
  • DOI
    10.14869/toxpt.40.1.0.1003038.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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