アルコール系手指消毒薬のウサギ及びヒト培養皮膚を用いた皮膚累積刺激性の比較検討

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  • Comparison study on cumulative skin irritation of alcohol-based hand rubs in rabbits and human 3-D eoidermal model

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抄録

【目的】速乾性擦式アルコール系手指消毒薬(以下、消毒薬と略)を頻回に使用すると手荒れを生じることが報告されている。これらの薬剤を開発するにあたり皮膚累積刺激性の評価は重要であり、ウサギを用いた試験法が汎用されている。一方、動物福祉や倫理の観点から、近年、ヒト培養皮膚モデルを用いた評価系も考案されてきた。今回、我々は消毒薬の皮膚累積刺激性を検討するにあたり、ウサギの試験系と三次元ヒト培養皮膚(表皮)モデル(LabCyte EPI-MODEL24:㈱J-TEC)用いた系を比較検討した。【方法】予め刈毛した日本白色種ウサギ(Kbl/JW)の背部皮膚に被験液(消毒用エタノール及び市販のA~E剤の6薬剤)0.1mL/siteを1日5回(1時間毎)、5日連続で反復塗布し、各投与日の最終投与1時間後及び回復期間3日目にDraizeの判定基準を用いて、肉眼的に皮膚反応を観察した。培養皮膚モデル実験は山本らの方法(薬学雑誌、130、2010)を用いた。LabCyte EPI-MODEL通常モデル(13日培養品)及び敏感肌モデル(6日培養品)に被験液10μLを適用させ、直ちにエアブロワーを用いて被験液を乾燥させるように1分間送風した。この操作を5回行った後、24時間後培養し、MTTアッセイを用いて生細胞率を算出した。【結果】ウサギの試験では、A剤で重度、C剤で軽度の皮膚累積刺激性が認められた。その他の薬剤では皮膚累積刺激性は認められなかった。培養皮膚モデルでは、A剤、B剤あるいはC剤で顕著な生細胞率の低下がみられた。D剤では通常モデルと敏感肌モデルとの差は認められなかったが、その他の製剤において敏感肌モデルで生細胞率の低下傾向が認められた。【考察】消毒薬の皮膚累積刺激性を評価する場合、培養皮膚モデルはウサギと比較して感度の高い反応性を示し、敏感肌モデルを用いることでさらにその感度が増す可能性が示唆された。以上から、培養皮膚モデルは消毒薬の皮膚累積刺激性を評価する上で有用性の高いモデルであると考えられた。

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