血中グルタチオン代謝系の酸化ストレスマーカーとしての有用性に関する検討
書誌事項
- タイトル別名
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- Investigation of the glutathione metabolic pathway in blood as the usefull marker for oxidative stress
抄録
【目的】非臨床試験で予測困難な肝障害やアレルギー反応などの特異体質毒性の原因として、医薬品の代謝過程で生じる反応性代謝物が知られている。また、反応性代謝物と生体内蛋白との反応で生じる活性酸素種による酸化ストレスも、毒性の発現に寄与すると考えられている。グルタチオン(GSH)代謝系は、反応性代謝物の捕捉や酸化ストレスに対する防御機構として生体内で重要な役割を担っており、酸化ストレス状態ではGSHの消費が亢進することにより臓器内のGSH量が低下する。本研究では、生体における酸化ストレス状態を反映するマーカー探索の一環として、血液中のGSH代謝系の経時変化に注目した。<br>【方法】酸化ストレス状態を再現する目的からマウスおよびラットにGSH枯渇剤を投与し、肝臓、全血、血漿および血球を経時的に採取した。これらマトリクス中のGSHおよびその周辺代謝物をLC-MS/MSを用いて分析し、濃度推移を調べた。<br>【結果】肝臓、全血、血漿および血球において、GSH枯渇剤投与後2時間でGSHおよび一部の代謝物の顕著な減少が認められた。また、肝臓および血漿中GSHの経時変化は類似しており、投与後24時間のGSHは投与前のレベルにまで回復した。一方、血球および全血でのGSHレベルの回復は肝臓や血漿よりも遅れて観察され、投与後24時間以降に緩やかな回復が認められた。 <br>【結論】本検討により、血漿はGSHの代謝回転が盛んな肝臓におけるGSH代謝系の変動を反映しており、血漿中GSHは肝臓の酸化ストレス状態の指標となることが示唆された。また全血中GSHは、肝臓以外の臓器を含めた全身の酸化ストレス状態を反映している可能性があることから、全血中GSHと血漿中GSHを共に測定することは全身および肝臓の酸化ストレス状態を把握するためのツールとなる可能性が示唆された。
収録刊行物
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- 日本毒性学会学術年会
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日本毒性学会学術年会 39.1 (0), P-109-, 2012
日本毒性学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390001205546622208
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- NII論文ID
- 130005008704
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可