神経行動毒性のメタ解析:哺乳動物におけるコリン作動性物質の毒性発現におけるnAChRの関与についての調査(続報)
書誌事項
- タイトル別名
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- Meta-analysis in neurobehavioral toxicology: follow-up study on the role of nAChR in mammalian toxicity of cholinergic agonists
説明
コリン作動性神経は古くから研究され、同神経に作用する化学物質が実用化されている。例えば、ニコチン受容体(nAChR)に作用する代表的なニコチンは喫煙により摂取されており、その依存性治療薬としてニコチンパッチやガムが実用化されている。さらに、90年代より農業分野ではnAChRに作用する殺虫剤であるネオニコチノイドが多数実用化されている。<br>化学物質の開発過程で種々の安全性試験が実施され、脳神経系への影響も評価されているが、脳神経系の検査を安全性試験に盛り込む困難さや動物からヒトを予測する限界が指摘されている。そこで我々は、作用部位が明確な化学物質についての動物とヒトに対する作用を比較することは脳神経系への影響(神経行動毒性)を解釈する上で有益な知見を提供できると考え、nAChRに作用する物質の公開情報の収集・解析を進めている。<br>昨年度の本会で、ニコチンと2種のネオニコチノイド(アセタミプリド、イミダクロプリド)の動物で得られた知見について報告した。すなわち、ネオニコチノイドを単回投与するとニコチンと類似した所見がみられ、反復投与や発達期投与では摂餌量減少や体重増加抑制がLOAELで見られた。ニコチンついては多くの基礎研究やメカニズム研究があり、体重増加抑制や摂餌量減少が報告されているが、安全性評価で重要なLOAELやNOAELを示す報告は殆ど見出すことは出来なかった。これらより、ネオニコチノイドの安全性評価においてnAChRへの直接作用が重要な役割を演じていることを示唆した。<br>本年度は、わが国で実用化されている他のネオニコチノイド(クロチアニジン、ジノテフラン、チアメトキサム)の調査結果を報告する。ニコチンについてもさらに調査した結果を報告する。<br>*iCNS:脳神経系の科学的理解、脳神経系への化学物質の効果と影響を非営利かつ学術的に調査・研究することを目的とした集り。
収録刊行物
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- 日本毒性学会学術年会
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日本毒性学会学術年会 43.1 (0), P-251-, 2016
日本毒性学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390001205546763008
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- NII論文ID
- 130005260848
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可