iPS細胞由来心筋細胞(hiPSC-CMS)を使用したソフォスブビル・アミオダロン同時投与による細胞電気生理、Ca<sup>2+</sup>調節および興奮収縮連関障害の<i>in vivo</i>での再現

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抄録

ソフォスブビルはC型肝炎治療に著しい効果をもたらしたがアミオダロンとの同時投与により重度の徐脈例が発生している。この同時投与による有害効果のin Vitroでの再現を目指しiPS細胞由来心筋細胞iCell® Cardiomyocytes(hiPSC-CMS)を使用しマイクロエレクトロードアレイ(MEA)、パッチクランプ(APC)、細胞質内カルシウム濃度変化(Caトランジエント)、およびインピーダンスを測定した。<br>MEA測定においてソフォスブビルのみではhiPSC-CMSに電気生理的な影響は見られなかったが、アミオダロンのみでは収縮(BR)が緩徐化されフィールド・ポテンシャル・デュレーション(FPD)の延長が確認された。しかし同時投与ではアミオダロン単独投与とは逆にFPDの減少(53%)BRの増加(100%)が用量依存的に確認された。また、これらの結果はP-糖タンパク質の活性とは無関係であった。イオンチャネルを過剰発現する細胞をAPC測定した結果、電気生理的な変化は、カリウム、ナトリウム、またはカルシウムチャネルとの直接的な相互作用によるものでないことが示された。ソフォスブビルは臨床的Cmax~30倍の濃度添加下でもCaトランジェントに影響はなかったがアミオダロンは0.6µMでわずかな効果が確認された。しかし 同時投与では臨床的に意義のあるソフォスブビル濃度(3-10µM)でCaトランジェントが排除され用量依存的な効果がみられた。更に電気生理と収縮の同時測定によりhiPSC-CMSの興奮収縮連関の異常が確認された。更にソフォスブビル単独投与では最高濃度で電気的な異常が確認されたが機械的な収縮の異常は確認されなかった。 これらのデータは細胞内のCa2+調節障害がソフォスブビル・アミオダロンの同時投与による事を示しているとともに心臓安全性の前臨床段階における早期評価には完全に機能する細胞モデルを複数のエンドポイントで測定することの重要性を示している。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205547196288
  • NII論文ID
    130005260715
  • DOI
    10.14869/toxpt.43.1.0_p-148
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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