小児期1型糖尿病の血糖管理

説明

1型糖尿病は、どの年齢でも発症する疾患である。したがってそのインスリン療法は、年齢や生活、家庭状況により本人に合った方法を選択する必要がある。近年、超速効型や持効型のインスリンが使えるようになり、その選択肢は大きく広がった。インスリン療法におけるの小児の特性A)低年齢ほど皮下でのインスリンの効果が早く現れ早く消失する傾向ある。B)食事量や運動量を決めることが困難。C)注射に伴う痛みや恐怖に対する許容能が低い。負担軽減方法を考慮する必要。D)低血糖の自覚が乏しい、予測困難。重症低血糖を起こさない工夫が必要。E)思春期はインスリン抵抗性が増加し必要インスリン量は増える。年齢別インスリン療法の多様性1.乳児期:運動量の少ない時期は持続皮下注入ポンプ(CSII)が使いやすい。ペン型注射器を用いた頻回注射の場合も、哺乳量や食事量が予測できないので超速効を用いて摂取量を確認後食後に打つことも可能。インスリンの微量調整が必要であり0.5単位刻みのペン型注射器(ノボペンデミ)の使用が便利。2.幼児期から学童低学年:注射負担の軽減のため一日2回の注射で必要十分であると考える。当科では血糖値や食事量、運動量によりペン型注射器のカートリッジ式混合製剤の数種類の中から選んで調整するという方法を用いている。朝はペンフィル10Rや20Rで夕方は40R、50Rを使うことが多い。もちろん年少でも本人が昼食前も注射できる場合は頻回注射法を行うこともある。2.学童期高学年以降:本人の能力や環境にもよるが、一般には小学校高学年から中学生になったごろから頻回注射法を導入することが多い。各食前の速効型または超速効型と眠前の中間型または持効型の組みあわせが一般的である。その他1)おやつ前の追加注射:2回法でも4回注射法でも夕方3-4時というのはちょうどインスリン切れの時間帯になる。この時間におやつは高血糖の原因になるが、おやつ前に超速効型インスリンを打つことで血糖コントロール悪化することなく自由におやつを食べられるようになる。2)CSII:近年、ポンプや注入カテーテルの改良、また超速効型インスリンとの相性などからCSIIは使いやすくなっている。当科ではレンタルシステムを用い、1型糖尿患者の約20%の患者がCSIIを行っている。その安全性は高く、適応範囲も広いものを考える。3)カーボ・カウンティング:血糖上昇は食事中炭水化物によるものであるので、インスリン量は炭水化物量により調整するという考え方。超速効と持続型を用いたインスリン療法やCSIIの場合に有効である。 以上、この講演では最新の小児期インスリン療法について概観する。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205547250688
  • NII論文ID
    130006952951
  • DOI
    10.11213/aexz.39.0.94.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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