細胞老化に関わるエピゲノム因子の探索と解析
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- 中尾 光善
- 熊本大学発生医学研究所細胞医学分野
書誌事項
- タイトル別名
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- Analysis of epigenetic factors involved in cellular senescence
抄録
細胞の老化は、その特性に応じた内在性プログラムで調節されている。しかも、外的環境の変化に適応する必要がある。その際には、刺激に対する短期応答だけでなく、刺激が消失してもそれを記憶したり、慢性的な刺激に対する長期応答があり得る。DNAメチル化とクロマチン、核内構造体の形成というエピゲノム全体が働き合うと考えられるが、その機序には不明な点が多い。<br>私たちは、線維芽細胞の老化モデル(複製後老化および癌遺伝子誘導性老化(OIS))を用いて解析してきた。CTCF依存性のクロマチンインスレーターに着目して、細胞周期を調節するINK4/ARF遺伝子座では、老化細胞でCTCFの発現低下によるクロマチン・ループの解除がおこり、INK4(p15/p16)遺伝子が発現誘導されることを示した。また、細胞老化に必要な網膜芽細胞腫タンパク質RBによる遺伝子制御を通して、老化細胞でのエネルギー代謝(解糖と酸化的リン酸化の双方)が活性化されることを報告した。そこで、細胞老化に関わるエピゲノム因子を明らかにするため、siRNAライブラリーを用いた探索を行った。メチル化DNA結合因子MBD1と協働するH3K9トリメチル化酵素複合体(SETDB1-MCAF1)を構成するMCAF1(別名ATF7IP)の阻害によって、細胞老化が誘導された。興味深いことに、OISにおいて、MCAF1はPMLボディと呼ばれる核内構造体に集積・隔離されていた。さらに、特定のエピゲノム因子の阻害によって細胞老化が誘導されて、核内構造体が変換することが判明した。細胞老化に関わるエピゲノム機構を明らかにすることは、新しいバイオマーカー開発につながる可能性をもつ。老化のエピジェネティクスには未解明の点が多く、その契機として議論したい。
収録刊行物
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- 日本毒性学会学術年会
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日本毒性学会学術年会 43.1 (0), S12-2-, 2016
日本毒性学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390001205547461888
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- NII論文ID
- 130005260932
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可