アンチセンス医薬創出に向けた人工核酸の開発研究
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- 小比賀 聡
- 大阪大学薬学研究科
書誌事項
- タイトル別名
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- Development of nucleic acid analogues for therapeutic applications
説明
1978年、ZamecnikとStephensonによって現在の核酸創薬の礎となる画期的な研究成果が打ち出された。彼らは短いオリゴヌクレオチド誘導体を用いて、相補的な配列を有するmRNAからのタンパク発現を抑制することに成功したのである。これがいわゆるアンチセンスオリゴヌクレオチドの最初の報告である。アンチセンスオリゴヌクレオチドはDNA→mRNA→タンパク質という遺伝情報の流れをmRNAとアンチセンスオリゴとの配列特異的な二重鎖形成によって阻害するものであり、これまでの多くの医薬品がタンパク質そのものを標的としているのに対しその薬効発現メカニズムは大きく異なっている。また核酸創薬においては、分子量数千以上のポリアニオン分子を用いることから、化合物の特性という点においても従来の創薬とは一線を画す。さらに核酸創薬の対象は、mRNAを標的とするアンチセンスのみならず、siRNAやmiRNA、核酸アプタマー等、分子生物学、細胞生物学の発展とともに近年大きな広がりを見せている。<br> 核酸創薬は、多種多様な原理・機構に基づいているが、いずれの場合においても優れた機能性を示す人工核酸の果たす役割は大きい。我々は、1990年代より機能性人工核酸の化学合成研究に取り組んでおり、これまでに興味深い特性を示すいくつかの人工核酸の開発に成功してきた。またそれらの応用研究として、人工オリゴヌクレオチドを用いた遺伝子発現制御、スプライシング制御、三重鎖核酸形成を基盤とするDNA検出、人工核酸アプタマーの創成等にも現在積極的に取り組んでいる。本講演においては、我々の人工核酸開発について、さらには人工核酸を利用したアンチセンス創薬への取り組みについて紹介したい。
収録刊行物
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- 日本毒性学会学術年会
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日本毒性学会学術年会 41.1 (0), S15-1-, 2014
日本毒性学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390001205548029184
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- NII論文ID
- 130005468806
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可