マイクロ空間培養プレートを用いた胆汁うっ滞型肝障害評価系の構築

  • 関根 秀一
    千葉大学大学院薬学研究院 生物薬剤学研究室
  • 菊田 奈津子
    千葉大学大学院薬学研究院 生物薬剤学研究室
  • 江尻 洋子
    株式会社クラレ 新事業開発本部 マイクロデバイス開発チーム
  • 細田 雅也
    株式会社クラレ 新事業開発本部 マイクロデバイス開発チーム
  • 堀江 利治
    帝京平成大学 薬学部
  • 伊藤 晃成
    千葉大学大学院薬学研究院 生物薬剤学研究室

書誌事項

タイトル別名
  • Evaluation of drug-induced cholestatic hepatotoxicity in micro-space culture plate

説明

【目的】臨床で見られる薬剤性肝障害(DILI)を非臨床試験において予測するため様々なアプローチがなされているものの、既存の実験法では十分に予測できておらず、DILIを前臨床試験段階で正確に評価する、生理的な肝臓に近い評価法が希求されている。肝細胞に特有の機能であるBile salt export pump (BSEP)による胆汁酸の胆汁中への排泄が薬物により阻害されると胆汁うっ滞型肝障害につながる。初代培養肝細胞は単離過程で極性が消失するため、現時点で胆汁排泄を評価可能なIn vitro試験系は限られている。マイクロメートルオーダーの規則的な凹凸の凹部に細胞塊(スフェロイド)を形成する3次元培養系であるスフェロイド培養系(MSCS)は、既存法に比べて薬物動態に関連する遺伝子の発現量が保たれた状態で長期培養可能となるなどの利点がある一方で、胆汁排泄機能や細胞毒性感受性に関する情報は少ない。そこで本研究では、マイクロ空間培養プレートにおいて薬物による胆汁酸排泄阻害による胆汁うっ滞型肝障害が評価可能となるかについて検討を行った。【方法】本検討では、BSEP阻害剤を含む26種の被験化合物(<50 µM)を用いた。Sprague-Dawley系雄性ラット(7-8W)の肝臓より単離した肝細胞をElplasia(R)「SQ 200 50G」に播種し5日間培養した。非毒性域の胆汁酸を被検薬物とともに肝細胞へ曝露(24時間)し培地中に漏出したLDHを胆汁酸依存性肝細胞毒性として測定した。【結果・考察】MSCSの胆汁酸排泄能を確認するため3H-Taurocholate(TCA)の排泄を既報のBiliary excretion index法により検討を行い、Cyclosporin A(CsA)によりTCAの毛細胆管スペースへの排泄が抑制されることを確認した。次に胆汁酸のみで細胞毒性を示さない濃度において、被検化合物による毒性を検討した結果、BSEPに対する阻害能が強力(IC50 <25 µM)な被検薬物(CsA, Ethinyl estradiol, Ritonavir, Glybenclamide, Ketoconazole, Simvastatin, Troglitazone)において、胆汁酸依存的な細胞毒性が見られた。以上のことから、BSEP阻害を伴う肝細胞障害のスクリーニング系としてMSCSが有用となる可能性が示された。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205548165504
  • NII論文ID
    130005468719
  • DOI
    10.14869/toxpt.41.1.0_p-91
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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