臨床第Ⅰ相試験前に実施する毒性試験でみられる標的毒性を考慮した安全域設定

書誌事項

タイトル別名
  • Acceptable safety margin of target toxicity observed in toxicology studies for Phase 1 trials of non-oncology drugs

説明

抗がん剤を除く開発化合物をヒトに初めて投与する場合、健常被験者の安全を確保することが重要である。非臨床毒性試験において「十分な」安全域(safety margin)が確保できないことを理由に、開発化合物が第Ⅰ相試験に進むことなく開発中止となることがある。第Ⅰ相試験に進むためには、非臨床毒性試験で認められた毒性所見が、臨床試験における投与量を制限する毒性(dose-limiting toxicity)になるかどうかを見極め、安全域を勘案して、開発を進めるか否かを判断することが一般的である。しかしながら、第Ⅰ相試験に進むために必要な安全域は、開発化合物の薬効及び適応疾患、毒性標的器官、毒性所見の性質(薬理作用起因、過度の薬理作用あるいは化合物特有の変化)、重篤度及び回復性、ヒトへの外挿性及びモニター可能性等の要因を考慮する必要がある。そのため、許容される安全域に対する考え方に、必ずしも統一された基準はないと推察される。<br>先に製薬協基礎研究部会から製薬各社に対して、計136の所見に対する臨床試験に進むために必要な安全域の考え方について、アンケートが実施された。その結果、多くの所見について、安全域10倍が確保されれば条件付で開発を進めるとの回答が得られた。しかしながら、眼、心臓、脳・神経系の所見については、10倍の安全域が確保された場合でも20%以上の企業が開発中止を判断し、このうち一部の所見では、30倍あるいは100倍の安全域が確保されても20%以上の企業が開発を断念するとの回答であった。<br>本発表では、アンケート結果を参考に、標的器官あるいは毒性所見の違いによる安全域設定に対する考え方と傾向、並びに、許容される安全域が変動する条件について報告する。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205548387456
  • NII論文ID
    130005468936
  • DOI
    10.14869/toxpt.41.1.0_w9-3
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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