脳の性分化とキスペプチンニューロン
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- 束村 博子
- 名古屋大学大学院生命農学研究科
書誌事項
- タイトル別名
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- Sexual differentiation of the brain and kisspeptin neurons
抄録
キスペプチンは、性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)放出を直接刺激し、性成熟や成熟個体における生殖機能維持に中心的な役割をもつことから、生殖科学分野で大きな注目を集めている。ほ乳類の脳のデフォルトは雌型であり、げっ歯類の場合、新生児期のアンドロジェンが脳内でエストロジェンへと芳香化されて作用し、性行動やGnRH/黄体形成ホルモン(LH)サージ中枢が脱雌性化する。<br> ラットの脳において、キスペプチンニューロン細胞体の分布には雌雄差がある。雌ラットでは、前腹側室周囲核(AVPV)および視床下部室傍核(ARC)にキスペプチンニューロンの細胞体が存在する。雌ラットのAVPVにおけるキスペプチン発現はエストロジェンによって著しく増加するが、雄ではキスペプチン発現が殆ど認められない。発達期の雌ラットへのステロイド感作により、AVPVのキスペプチン発現が消失する。一方で、新生児期に精巣除去された雄ラットでは、成熟後に高濃度のエストロジェンを投与すると、AVPVのキスペプチン発現増加やLHサージが認められることことから、AVPVのキスペプチンニューロンはGnRH/LHサージの制御を通じて排卵を制御する中枢であると考えられ、発達期の性ステロイド環境の違いがAVPVキスペプチンニューロンの雌雄差をもたらし、その後の排卵中枢の性分化を支配すると考えられる。一方、ARCのキスペプチンニューロンには雌雄差が認められず、GnRH/LHの基底分泌、すなわちGnRH/LHパルスを第一義的に支配しており、ステロイドによるネガティブフィードバックのターゲットであると考えられる。本講演では、キスペプチンの生理作用とそのエピジェネティックな制御機構も含めて議論する。本研究は農水省「家畜ゲノムプロ」の一部として実施した。
収録刊行物
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- 日本毒性学会学術年会
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日本毒性学会学術年会 41.1 (0), S21-2-, 2014
日本毒性学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390001205548701312
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- NII論文ID
- 130005468841
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可