HLAが関与するIDTの予測

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タイトル別名
  • Prediction of HLA-associated IDT

抄録

医薬分子が示す特異体質性薬物毒性(IDT: idiosyncratic drug toxicity)は重篤な副作用に繋がるが、動物実験や臨床試験の段階での発見は現状では殆ど困難であり、医薬分子が上市され、実際に多くの患者に使用されてからはじめて発見されることが多い。従って、医薬分子開発の可能な限り早期の段階に、IDTの可能性を把握することが強く求められている。近年、特定のHLA(human leukocyte antigen)の型と特定の医薬分子のIDT発生が高い相関を示すことが、多くの医薬分子について明らかにされている。そこで我々は特定の型のHLA分子と医薬分子との相互作用シミュレーションにより、医薬分子のIDTを予測することを試みている。本講演では、我々がこれまでに取り組んで来た幾つかのIDT予測の事例について、予測方法も含め、紹介する。 <br> 抗てんかん薬カルバマゼピン(CBZ)とHLA-A*31:01の相互作用解析は、CBZがHLA分子の抗原ペプチド結合部位(結合溝)の深い位置に結合し、そのHLA-CBZ複合体に新たな抗原ペプチドが結合してIDTを発生することを示唆した。抗HIV治療薬ネビラピン(NVP)とHLA-B*14:02の相互作用解析結果は、NVPが結合溝の浅い領域に結合するため、結合したNVPとTCRの直接的な相互作用がIDT発生の引金になることを示唆した。市販の総合感冒薬に含まれる薬効成分とHLA-A*02:06の相互作用解析結果は、HLA-医薬分子相互作用がこれまでに報告されているIDTとおおよそ相関することを示した。以上の結果は、特定の型のHLA分子と特定の医薬分子の相互作用シミュレーションがHLAの関係するIDT予測に有用であることを示唆する。<br> 本講演で述べる研究の一部は科学研究費補助金・新学術領域研究(22133012)の助成を受けて行った。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205549496320
  • NII論文ID
    130005483655
  • DOI
    10.14869/toxpt.42.1.0_s14-2
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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