PK/PDの医薬品リスク評価への活用-医療現場からの提案-
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- 中村 敏明
- 福井大学医学部附属病院薬剤部
書誌事項
- タイトル別名
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- Practical use of PK/PD for drug risk evaluation -propositions at clinical site-
説明
医療現場では、医薬品を安全かつ効果的に使いこなすために、様々な状況を想定した評価とそれに基づく必要な対策を立てている。この数年で、全く新規の作用機序を有する医薬品も複数登場している。それらに関しては、既存の医薬品から得られる情報が活用できず、承認申請までの情報で適正使用を考えなければならない。特に有害事象は、無いのが理想で、たとえ発現頻度が低くても重篤事例が報告されれば有用性評価は低下する。これまで以上に限られた情報をうまく活用することが求められる。<br>例えば、非臨床では、用量-反応曲線が示されている。また、受容体占有率や受容体にサブタイプが存在するようなケースでは、サブタイプごとの親和性といったデータも示される。これらの結果は臨床における薬剤の受容体選択性を推測する際に活用されている。一方、臨床では薬剤投与後の薬物血中濃度‐時間曲線が示され、活性代謝物が存在する場合には、その薬物動態についても明らかにされ、薬物相互作用や遺伝多型の影響の評価などに活用されている。<br>しかしながら、これらを組み合わせた評価はあまり行われていないようである。一例を示すならば、受容体サブタイプについて、それぞれの親和性について調査されており、その差が大きいことをもって選択性が高いと判断されることがある。実際には、用量反応曲線は、その名の通り、曲線であり直線ではない。親和性の比率は一定ではなく、同様に、薬物血中濃度も投与後の時間経過に伴って変化するため、常に選択性の高さが維持されるわけではない。50%の受容体占有率のところで選択性を評価した場合、30倍であったとしても、最高血中濃度付近において選択性を評価してみるとわずか数倍に過ぎないというようなことも起こりうるわけである。<br>非臨床と臨床がクロストークすることで、断片的な情報を統合し、更に有用性の高い情報を構築し、適正な薬物療法への活用につながるものと考える。
収録刊行物
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- 日本毒性学会学術年会
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日本毒性学会学術年会 42.1 (0), S10-5-, 2015
日本毒性学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390001205549544192
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- NII論文ID
- 130005483681
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可